この映画は、ずいぶん昔に一度観ています。ソウルの春(2023) の
【01】 、【02】 、【03】 、【04】 で、お隣の韓国の歴史について
あまりに無知だったことや、この映画についてもデモの鎮圧シーンを
全共闘と機動隊の激突くらいの規模に感じてしまったという記憶しか
なかったことを吐露していますが、今回、改めて鑑賞してみて
あまりにも自分の記憶のいい加減さや、せっかくこの映画を鑑賞したのに
5・18 光州事件 について何ひとつ調べようともしなかったことを
猛省したのです。
今現在、お隣の韓国で起きている政治的大混乱について、この映画と
「ソウルの春」を観るだけでも理解度はまるで違ってくると思います。
この映画の前半は記憶通りドタバタで ソン・ガンホ の名演と相まって
明るい喜劇調で、一度は娘のために光州市を無事に脱出するあたりまでは
けっこうハチャメチャでも、どこか憎めないタクシードライバーのままなんですが
再び、光州市へと折り返すあたりから大活劇となって、前半の喜劇と
ハラハラドキドキの後半部分の印象が強すぎて肝心の残虐なデモ鎮圧シーンや
ひょうきんだったデモ学生の悲惨な最期などのシーンがスッポリと抜け落ちて
しまったものと思われます。そして、何よりも韓国の1980年についての
知識のなさが光州事件や、その後の軍事政権下の生活に対する韓国国民の
感情への理解の欠如を私にもたらしたままにしてしまったのだと思います。
現在、韓国で起きていることは、おそらく国民の大部分にとって、日本で
言えば戦前の軍国時代に引き戻されそうになるくらいの恐怖であることを
私達は知らねばならないと思うのです。