軍部内の秘密結社ハナ会のリーダーである全斗煥と鄭昇和陸軍参謀総長との
軋轢が朴正煕暗殺事件の捜査過程において一気に拡大し、ハナ会を牽制するため
張泰玩少将を首都警備司令官に任命して参謀総長はハナ会の解体を目論みました。
映画では張泰玩少将をモデルとしたイ・テシン少将と陸軍参謀総長を朴正煕暗殺事件の
黒幕として逮捕して一挙に劣勢を挽回しようとした全斗煥の反乱軍との攻防を
史実とフィクションを織り交ぜて手に汗を握る活劇として迫力ある映像で描き切って
いました。
歴史を知らない私には、全斗煥が全面勝利する結末に、何?何?何?と絶叫しかねない
状況に陥りました。内戦が始まりかねない緊迫した状況を関わる人それぞれの動きに
よって情勢は振り子のように右、左と揺れ動き息つく間もない展開に、ただただ、映画の
世界に巻き込まれていきました。
完璧なヒーローであるイ・テシン少将は、完璧であるがゆえに全斗煥の汚い反撃に
倒されてしまうのです。
クライマックスで全ての反撃手段を失ったイ・テシン少将が、たった一人で
両軍の間に横たわるバリケードの海を反乱軍に向かって渡って行くシーンです。
無論、たった一人で何ができるわけもなく反乱軍に拘束されたイ・テシン少将を
見つめる全斗煥です。
私が衝撃を受けたラストです。