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魔女と呼ばれた少女(2012)

孫家族①が来ていて半分は先に帰りましたが、工作をする時間は取れません。

明後日には孫家族②が来るし、明日の夕方は精霊送りの世話があります。

今日は娘がミニ同窓会に16時頃から出かけて 21:38 現在、まだ帰宅していないし、

4人いないと麻雀もできないし、それやこれやで、ぽっかり空き時間が

あいたので映画を観ました。<allcinema> の解説文(部分)を引用すると

これが長編4作目となるカナダ人監督キム・グエンが、アフリカの少年兵問題を背景に
コンゴで撮り上げ、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた異色の戦争ドラマ。
反政府軍によって無理やり兵士にさせられた少女が辿る壮絶な運命を、過酷な
現実描写の中にリリカルな幻想的映像を織り交ぜ描き出す。主演は本作の演技で
みごとベルリン国際映画祭女優賞に輝いた新人、ラシェル・ムワンザ。
紛争の続くアフリカ、コンゴ…

実は、↑↑↑ の解説も読まず、手元にあった8本の映画の中で、まだ観ていないのが

4本で、その中からタイトルに惹かれて観たのが、この映画でした。

ところで、

「Yahoo!映画」は「Yahoo!検索」に機能統合いたしました。
2023年7月31日(月)午後3時をもちまして、「Yahoo!映画」は
サービスを終了いたしました。

なんですってね。いくら、「Yahoo!映画」で「魔女と呼ばれた少女」を探しても

見つからないはずです。

と、関係ない話をダラダラするのは、いつもの悪いクセなんですが、

いつものように映画の中のシーンを切り取って何か書こうとしても

過酷な現実を描写したシーンは動きの中にあって静止画では何も

語ってくれないんですね。ストーリーはセリフの中にあるし、とはいえ

ネタバレはしたくありません。

小さな恋を周囲の大人達が応援して、↑↑↑ は、その恋が成就するシーンなんですが

過酷な現実を描きながらも残虐な描写は極力抑えられているし、ヌードシーンも

一回だけで、しかもソフトです。

しかし、本人ヌードだとすると14才で妊娠?とか、ヌードシーンそのものが児ポ基準を

クリアできてるの?とか別のことが気になったので、ホントに必要なシーンなのかなあという

疑問が残りました。

ザ・トライブと同様に現代の日本でぬるま湯的な生活を送っていると想像を超える

過酷な状況なんですが、ザ・トライブが、これでもかというほど過激に描写していくのと

対照的に品良く描かれています。ファンタジー的な要素もあるけど、これも節度をもって

描写されていて押しつけられ感がないままに監督が伝えようとしたことを受け取ることが

できたように感じさせてくれたウマイ映画だったという印象でした。

とにかく、観ておいて損はないなどというレベルではなく、ハッキリと得しますよと

オススメしたい佳作でした。

VIVANT

いやあ!面白い!

全裸監督のシーズン 1 をはるかに超える面白さ。さすがに 半沢直樹、ルーズヴェルト・ゲーム 、

下町ロケット、ドラゴン桜などなどヒット作を世に送り出した 福澤克雄 率いるTBS日曜劇場チームが

やってくれました。福澤克雄って、学生時代には有名なラグビー選手だったのね。 ノーサイド・ゲームも

面白かったもんなあ。

日本のドラマがハリウッドを超えた!とホンキで思っています。スケールが、とにかくスゴイ!

モンゴルで2ヶ月半にわたる長期ロケを行い、島根でも、いろいろロケを行ったとか……

俳優陣もスゴイ。堺雅人に阿部寛はTBS日曜劇場チームの二本柱としても、 二階堂ふみ に

役所広司 にと、ニノ以外は芸達者揃い。 ドラムのスマホの音声翻訳の声役の林原めぐみ も

サイコーにイイ!ドラムというのは、野崎(阿部寛)の協力者の ↓↓↓ の人

富田望生に似てるけど男性です。バク転もできます。モンゴル人に見えますが

日本人です。神戸出身です。

日本語を聞き取って理解することはできるけど話すことができないためスマホの

アプリを使ってしゃべる。その声が林原めぐみ というわけで、あまりにカワイイ声で

毎回笑ってしまいます。

製作費とか超豪華俳優陣だとかでハリウッドを超えることは難しいのですが、荒唐無稽な

話も、つじつま合わせがキチンとできてないと単なるホラ話になってしまうのです。

ハリウッド映画は、そのあたりへの気づかいが足りていない映画がケッコー多くて

それにツッコミを入れていると映画の世界に没入できなくなったりするのです。

その点、VIVANT は、実に細やかに、つじつまを合わせてくれるし伏線の張り方が

巧みで回収の方法もあざやかです。

それに、警察のバリケードを突破するための装甲ダンプカー!美術さんが、いい仕事をしてます。

こういう、うれしくなるような仕掛けを随所に巡らしてくれています。

↑↑↑ は、丸菱商事の専務室なのかな?アミダクジを横にしたようなバックパネルが秀逸で

これまた、美術さんの仕事でしょうか。バルカ共和国の寺院内の便所も便槽内の糞も、

とても、よくできていて、それらがリアリティを産むと同時に物語内の世界にグイグイと

視る者を引っ張り込んでくれるわけです。

この記事を映画カテゴリーに入れたのは、TVドラマの枠をはるかに超えてハリウッド映画さえも

凌駕しそうな作品だからです。この作品を観て思ったのですが、映画の場合、シリーズ化とか

前後編に分けない限り、2時間半とか、せいぜい3時間までといった上映時間の制限がありますが、

VIVANT の場合、初回が 108分。第2回も[25分拡大]なので、このシーズンで終わるにしても

10時間を超える作品となりそうです。もっとも、コマーシャルに使われる時間を差し引かねば

ならないのですが、10週続くかもしれないし、最終回拡大もあるかもしれず、いずれにしても

実質的にも10時間を超える可能性は残ります。

しかし、世界は広いというか、これまでの最長上映時間は、 「Logistics」(2012)の857時間。

第二位は、 「アンビアンス」(2020) の720時間。第三位以下は、10時間未満となります。

上映時間ランキングで40位が「タイタニック」(1997)3時間16分とのことです。

私は、この40作品のうち、12本は観てますね。観たかどうかあいまいなのが2本。

観ていないけど機会があれば観たいのが2本というところでしょうか。わりと長編好きなのかも?

そういえば、NHKの大河ドラマを欠かさず観てますね。 Game of Thrones も、3回は観てます。

だんだん、話がそれて文脈が見えなくなりましたが、上映時間の制限がゆるやかであれば

多くのことを描ききることができます。とはいえ、長ければ飽きられてしまうリスクもあります。

ところで、VIVANT冒頭の堺雅人が砂漠を彷徨するシーン。鳥取砂丘でロケしてCG合成したものと

思い込んで観ていました。CG技術ハンパねぇ。なんて感心してたんです。番組が終わる頃には

検索でゴビ砂漠でのロケとわかったのですが……

モバイルハウスのつくりかた (2011)

もう、3ヶ月半近くジンちゃんのお世話をしていません。

といっても、2ヶ月は屋根屋をしてたから仕方がない……とも

言えないんです。3ヶ月半 - 2ヶ月 = 1ヶ月半 !

1ヶ月半は、365日お正月の私にとっても、充分に長い期間です。

そこで、リハビリを兼ねて、この映画を観てヤル気を出そうと

思ったのです。その目的で言えば、 グッバイ、サマー (2015) のほうが

ピッタリっぽかったのですけど、残念ながら、Amazon プライム無料体験

期間中にDLが間に合わなかったので、手持ちの中では、これかなと

選んだワケです。

↑↑↑ と、↓↓↓ じゃ、モチベーションへの影響力が、まるで違うでしょ?

しかも、観ると決めてる映画の情報は事前に集めることはしないので

この映画が、TOKYO 0円ハウス0円生活について語る上で、実際に

ホームセンターで購入した2万6,000円分の材料を使って家を完成させる

ドキュメンタリーを軸に独自の住居論を展開していくというものだと

いうことを観て初めて知ったというウカツさでした。

月極駐車場を東京23区内で借りようとすれば、月額 52,129円 ~ 18,080円の

費用がかかるので、そんなに甘いものじゃありません。それに、住居に

車輪を取り付けて固定資産税や不動産取得税対象外とし、市街化調整区域に

住むことも可能というメリットだけを紹介されても、これまた、トレーラー

ハウス設置検査基準マニュアルに示されるような制約があります。

モバイルハウスを完成させて設置場所に移動させる前日に東日本大震災が

発生しちゃいます。そのため、モバイルハウスに住んじゃう編はカットと

なって、製作者の郷里である熊本に拠点を移し、拾ってきたモノで

空き家を再生させるというような話になっていきます。

新政府設立構想などの中身を聞けば興味深いアイデアも紹介されるのですが、

熊本には地震も起こり水害も発生するという未来を知っているので

そのあたりの話を聞くのは心穏やかではないものがありました。

話を戻して、モバイルハウスで暮らすというモチーフで連想するのは、

アカデミー賞に輝いたノマドランド (2020) (未見です)ですが、

ワーキャンパーという暮らし方を選択できるのは、白人に限られるんだそうです。

商業施設や公的施設の駐車場など、違法ではないが不適切な場所で車上生活をしても、

白人であれば口頭で注意されるだけで済むけど、黒人やアジア人がこれを行えば、

警察署に連行されてきびしい尋問を受けるのがアメリカという国だと言うのです。

もっと、端的に「黒人が車上生活してたら、警官とかチンピラに直ぐに殺されますから」

という声だってあります。マンハッタン「ビリオネアーズ・ロウ(億万長者通り)」と

呼ばれる一角にある96階建ての最上階にある六つのベッドルームを備え物件が昨年

売りに出さたが、価格は1億6900万ドル(約194億円)だったという読売新聞の報道を

目にしたばかりです。194億円といえば、ゲーム・オブ・スローンズを3シーズン

製作できちゃうくらいの金額ですからね。真子さまの住むマンションも家賃が

月80万円 ~ 100万円と騒がれているでしょ?(← 55万円かな: 英紙デイリー・メール )

なんだか、話がとめどなくなってきていますが、軽キャンで、どこに泊まっていようが

ドアミラーをへし折られて盗まれることもなく、「“強欲老人”は現役世代の血税を

飲み干しつつ、ゆたかなレジャーを楽しみながら老後を過ごす、老人病の吸血鬼だ」

などと公的年金者が罵倒されることのない日本にいるのですから、キャンカー生活を

享受できることの意味を噛みしめなくてはならないし、アメリカのように幾重にも

張り巡らせられた格差社会が日本にも我々が生きている間に訪れる可能性が

大きいことを忘れてはならないと考えるきっかけを与えてくれた映画でした。

荊の城 (2005)

ついでに……というか、こういう場合のクセで BBC製作のテレビドラマを

見ました。英語の字幕さえなかったのですが、前半は「お嬢さん」の第一部と

ほぼ同じ展開だったので映像だけでストーリーを追うことができました。

後半になると、いろいろややこしい「どんでん返し」が用意されていて

日本語字幕がないとムリです。でも、ネット上のネタバレをつなぎ合わせて

9割以上は理解できたと思います。

「お嬢さん」では、前半のほとんどと後半の半分くらいを使って、第一部と

第二部を描き、第三部はオリジナルストーリーだということがわかりました。

その第三部が、すばらしいので「お嬢さん」は傑作になったのでしょうね。

まあ、全体的にヤリスギ感はありましたが、それがいい感じに効いて秀逸な

コメディとして楽しめる作品になったように思えました。

今回の女優は ↑↑↑ の二人。エロいシーンはソフトですので安心して

観て下さい。

ブライア城が、ショボいのが玉にキズ。 上月邸は、豪華だったもんね。

こうなりゃ原作も……と、メルカリや、ネットショップを覗いてみましたが

ビミョーに高いので断念しました。読後評なんかを見ると、スゥが精神病院で

追い込まれて気が狂っていく描写がキツかったという感想なんかもあったので

安く入手できるとしても、読まないことにします。

お嬢さん (2016)

観て得したーって感じでした。

字幕なしのものは持っているし、半分くらいは日本語のセリフだから

何とかストーリーくらいはわかるだろうと、そのうち観ようと思って

いました。ところが実際に観たら日本語が聞き取れなくて日本語部分も

字幕なしでした。Amazon プライム 版は韓国語部分に字幕がついていて

ホントに良かったぁ。日本語部分にも字幕がついていれば、なお、

うれしかったのですけどね。

ロバート・レッドフォードとポール・ニューマンの「スティング」のようで

あり、黒澤明の「羅生門」のようでもありながら、さすがのパク・チャヌク監督。

残虐シーンもキチンとあります。とはいっても、「復讐者に憐れみを」のような

身も凍るようなレベルではなく全体を観ればちゃんとコメディ。

字幕がないからという理由と、もうひとつ、1930年代の日本人を描いた

韓国映画っていうだけでも、少し腰がひけていたのですが、これは、いい意味で

裏切られて完全に取り越し苦労でした。

今回も魅力的な女優さんでした。↑↑↑ キム・ミニ と

↑↑↑ キム・テリ。韓国映画を観る楽しみの大きな部分が魅力あふれる

女優陣。

その二人が…… 韓国映画ですからね。ぶち壊しのボカシが……って

ことにはならないので安心です。

ゴッド・オブ・ウォー 導かれし勇者たち (2010)

邦題とジャケットは、ファンタジーファンを意図的に誤誘導しようと

していると断言したくなりますね。スプラッターではありますが、

ホラーではありません。最適な邦題は原題から「病」を省いて「黒死」かな。

暗黒の中世をきちんとした映像と俳優の演技でマジメに描いた映画では

あるんですが、マジシャンが前触れもなくマジックを披露して、そのつど

種明かしをしていくかのような味気なさを感じます。

見事に回収されていく伏線と巧みなストーリー展開で人間模様を

描き出すゲーム・オブ・スローンズと比べてしまうのは主要な俳優が

二人も両方に出演(しかも被りまくりの役柄で)しているからだけでは

ありません。

なんだか、コキおろしてばっかりのようですが、もっと映像の力を信じて

饒舌すぎる説明を省けばマシな映画になったのにという、もったいなさが

尾を引きました。

何もないところにボカシを入れると

ビミョーにネタバレぎみなのですが

Amazon プライム 日本語字幕版では、↑↑↑ のようにボカシが入っていますが、

ボカシの向こう側には、ボカさねばならないものは、何も映っていません。

この場面の男性は棹を持っていないという設定なので、この体勢でナニかが

映ってしまうとペットボトルどころではない大きなミスになってしまうのです。

ナニもないところにボカシを入れたことで、そこにナニがあるというミスリードを

して物語をブチ壊したのです。

不都合なモノが映っているから修正するというのは法律違反を回避するためで

正しいことですが、不都合なモノは映っていないのに修正して製作者の著作意図を

ないがしろにしてしまっては著作権の重大な侵害で法律違反になりませんか?

「疑わしきは」ボカしておけと不要な修正を安易に行うことだけは厳に慎んで

いただきたいものです。

Game of Thrones 場面集

ブランドン・スターク 10歳

8年後。でも、じわじわ年をとっていった感じじゃなくて、観てると

ある時、急に別人かと思うほど成長した姿で現れたっていう感じでした。

さて、 Game of Thrones の場面集です。

↓↓↓オマケです。

足元に

ペットボトルですねぇ。残念!

ゲーム・オブ・スローンズ

12月の半ばから始めて 20日ほどかけて Game of Thrones の全話を

鑑賞しました。できることなら一気に観たいところですが、全73話。

一話の上映時間が、50分 ~ 82分 全部足すと70時間40分。

オープニングクレジットやエンディングクレジットをトバしても

67時間くらいかかります。ヒマな時間がいくらでも見つかる私でも

20日かかりました。一日平均3時間20分です。ついでに数字の話を

すれば製作費が 1~6シーズンでは一話あたり 5.5億円から10億円。

7~8シーズンは、さらにの製作費が上昇し、15億円かけたものも。

この潤沢な製作費を用いて、北アイルランド、マルタ、クロアチア、

アイスランド、スペインなどのヨーロッパ各地でロケを行い、非常に

精緻なCGでドラゴンを見事に描き、衣装やウィグにも費用と手間を

かけて、今、その場にいて目撃しているかのような臨場感あふれる

映像を提供してくれました。

でも、言いたいのは、こんな Wiki データの話じゃなくて、これほどの

物語を見せてくれたことへの感謝です。この物語の原作を書いてくれた

ジョージ・レイモンド・リチャード・マーティンに、まず、感謝したいし、

原作者と HBO に映像化を承諾させ、実際の映像に結びつける脚本化を

してくれた二人、デイヴィッド・ベニオフとダニエル・ブレット・ワイスに

感謝したいし、登場人物を体当たりで見事に演じきってくれた俳優達に

感謝したいし、世界観を壊さないようにカメラ・美術・音声・メイクなど

すぐれた技術と情熱で描いてくれたスタッフに感謝したいし、ついでに、

無料会員として全編を字幕付きで提供してくれた Amazon プライムにも

感謝しようと思います。

元々、中世ヨーロッパを舞台とした映画は好きだし、RPG も好きで

若い頃はゲーム漬けの日々も過ごしました。でも、 Game of Thrones は

単に、そのような世界を可視化してくれたというわけではなくて、

その世界に生きた人々を見事に描き出して彼らが紡ぎ出す物語に引き込んで

くれたのです。

ジェヴォーダンの獣(2001) や スター・ウォーズ エピソード4 を

鑑賞したときの感動を73話にわたって持続させてくれたことに最大の

謝辞を贈りたいと思います。今後も2度、3度と鑑賞し直すことに

なりそうです。家族で観るためのものではありません。歴史好きの

大人の方にこそ、オススメのドラマです。本当は、目障りなだけの

修正を施した映像ではなく 容赦ない描写では定評のある HBO の

オリジナル映像で観たいものですね。(とはいっても、あからさまな

女性器の映像はピントを合わせないように配慮して撮影されてました)

ザ・トライブ (2014)

サーミの血よりも、さらに過酷な状況に置かれた未成年の男女を

描いた映画です。この映画は、冒頭に

というテロップが流れ、「セリフ」はすべて手話のみ。それは聾啞者の方が

字幕なしの外国映画を観ているようなものかも知れませんが、字幕なしを前提に

作られた映画なのでディテールはわからないまでも物語の流れはわかるように

なっています。

サーミの血は主に 90年くらい前のスウェーデンを舞台にした映画でしたが

この映画は、舞台となったウクライナの聾学校だけではなく、程度の差こそあれ

現在も全世界に存在する普遍的な閉塞的な状況下の若い男女の物語であり

それだけに解決の光が見えない絶望感を抱えてしまいます。

こんな底辺の物語など、我が身には関係ないと多くの日本人は思うのでしょうが

今現在においても「これは俺たちの話だ」という人が日本国内にも一定数存在します。

この映画は多くの日本人がそういう彼らの存在を「別世界の話」と思っていることへの

警鐘であり、さらに、世界には「世界で最も女が殺されている国」と呼ばれる

エルサルバドル、失業と人身売買に苦しみ続けるベネズエラ、繰り返し起こる

内戦状態から長年抜け出せないでいるイエメンなど多くの国民が貧困と殺人や

レイプなどの犯罪に苦しんでいる「別世界」ではない国が多く存在しているのに

私も含めて普段はその事実に目を向けることさえなく暮らしています。

なぜ、彼女たちは簡単に売春婦となるのか。レイプされ殺されないためには

犯罪組織の一員になるしかなく、若い女性が一員になるためには売春をするしか

なかったからという単純な図式が見えないと、この映画は「聾啞者だから」ではなく

「聾啞者も」という話なのだということが見えないということになります。

命懸けで女を愛するとき、懸ける命は自分の命だけではなく、愛する者や自分の

命を脅かす者の命をも含むことがラストに明かされるのですが、耳が聞こえない

ために背後から近づく危険や就寝中にまさに隣で起こっている危険から自分の身を

守れないという恐怖も繰り返し描かれます。

字幕が存在しない映画ですから、オリジナルを入手する手段を持っている方は

修正だらけの日本版での鑑賞はオススメしません。一ヶ所だけ男性器がチラリと

映ってはいますが露骨な性表現はありませんし、クローズアップもしないので

安心して下さい。

男性器の落書きが黒板に書かれているシーンがAmazon プライムでは、どうなって

いるのかなと確認したら、ボカシなしだったので「これはいいんだ」とちょっと

感心?しました。