Category Archives: 映画

サーミの血 (2016)

映画の力というのは、こういうことなんでしょう。

ラップランドという言葉は聞いたことがあっても、スカンジナビア半島の北部

ラップランド及びロシア北部コラ半島に今も暮らしている少数民族の名前が

サーミ人であることは知りませんでした。しかも 1930 年代のスウェーデンでは

サーミ人に対する迫害や差別が公然と行われていたことなど、まるで知りません

でした。「公然と」というより、国策としてと言ったほうがよいレベルの

人権侵害が行われていたことが、この映画の中でも描かれています。

この映画は、サーミ人について無知だった私に決して声高にではなく静かに

それでいてズシンとそれらの事実を伝えてくれた映画でした。

サーミ人社会に決別し、スウェーデン人として生きることを決意した少女が

なぜ、その決断をするに至ったか、どのように実行に移したかということと

その少女が老境に至ったとき、たった一人残されていた妹を失って、その葬儀に

参列したときの複雑な思いをとても丁寧に描写してくれます。ただし、無駄な

説明を極力そぎ落として物語が進んでいくので頭で理解させるのではなく

直接、心に語りかけてくるのです。

Amazon プライムの無料体験で、ご覧いただけるので良かったら鑑賞して

いただいて感想などをコメントいただけたら、うれしく思います。

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次の日に課金されます。(つまり、Amazon プライムの無料体験とは、

最初の月だけ、会費が前払いではなく後払いになるだけ……ということです)

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再び、無料体験はできなくなります。私の場合は、今年の6月に間違って無料体験を

開始して、7月に課金されたことに気づかないままでした。しかし、8月に買い物を

したときに、お急ぎ便が使えたので「あれれ?」と思って気づいたのでした。

Amazon で買い物をしてると、いたるところに無料体験ボタンが仕掛けられていて

ワンクリック詐欺の要領で無料体験を開始されてしまうんですよ。

早速、サポートにチャットで連絡を取って返金させました。6月、7月については

まったく、会員特典を使っていなかったのですが、8月は、一度だけお急ぎ便を

使ったのでどうなるかなと見ていたら、7月は返金、8月は課金なしでした。

そんなことがあって3ヶ月後の11月に無料体験を開始できたのですが、これが、

こんなことがあったからか、誰でもそうなるのか、そこのところはわかりません。

DUNE/デューン 砂の惑星 (2021)

今週の水曜日に、DUNE/デューン 砂の惑星 (2021)を観に行きました。

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け (2019) 以来、劇場で

映画鑑賞するのは、約2年ぶりとなります。場内は、市松模様に

使用できる席が決まっていて前後左右に隣り合わないよう感染対策が

とられていました。

この映画を選んだのは、デューン/砂の惑星 (1984) において監督の

デイヴィッド・リンチが、ファイナル・カットの権利を有していなかった

ために、配給会社により大幅にカットされた不本意な状態で上映され、

興行的にも批評家の評価においても支持されず大赤字となってしまった

ようです。

しかし、私は、この映画が大好きなんですよ。たとえば、

↑↑↑ のシーン!!!私は悶絶するほど好きです。ぜひとも、画像を

クリックして拡大画面でご覧ください。強烈に憶えているシーンですが

どういうシーンかと言われると、さすがに40年近く昔に観た映画だし、

それよりも当時でもストーリーがよくわからなかったこともあって

自信がないのです。

今回の映画では、↑↑↑ のシーンにあたるのではないかと、密かに

思っていたのですが、調べて見ると、この昆虫系の生き物は、

スペーシングギルドのナビゲーターだったのかも。今回の映画には、

登場していません。このあたりを大胆に割愛したのでストーリーが

簡潔になったのでしょう。しかし、そのぶん作品としての重厚さを

損なってしまったということなんだと思います。

さて、今回の作品ですが、期待値には到底届きませんでした。それに、

上映時間 155分は、とてつもなく長い。まあ、これが長く感じなかったら

作品として成功しているんでしょうけど、最後の30分ぐらいは、ずっと

早く終わらないかなあって思ってました。でも、この作品にもいいところが

あって、前回、ストーリーがイマイチわからなかったのが、今回は、

単純明快、すごくよくわかりました。

デューン / 砂の惑星 (1984) の終盤の ↑↑↑ のシーンも、前後の関係が

よくわからず、なんで、こーなった?と当時は思ったのですが、今回、

全体図が簡明に語られていたので、2023 年 10 月に公開予定の続編で

このシーンにあたる場面が語られる可能性が高いと思ってます。

さて、今回の映画の評価ですが、単なる SF アクション映画であって、

前回の作品に感じたような叙事詩としての広がりは感じませんでした。

しかし、そのぶん、ストーリー展開は簡明で、わかりやすかったことは

評価できると思います。ただし、2023年の続編を観るかというと微妙です。

映像的には技術的な格差があるため、もう一回、前回の作品を見直す気に

なるには、特撮の稚拙さが邪魔しそうです。

原作の小説「デューン」は読んだことはあるのですが、この機会に

読み直すかと言われると、これまた微妙です。「デューン」の続編の

『デューン砂漠の救世主』(1969年)
『デューン砂丘の子供たち』(1976年)
『デューン砂漠の神皇帝』(1981年)
『デューン砂漠の異端者』(1984年)
『デューン砂丘の大聖堂』(1985年)

を読むことはないでしょう。

まして、原作者の息子とケヴィン・J・アンダースンとの共著で書かれた

11部作を読むことはありません。だって、そのうちの8部作は翻訳されて

いないようなんだもん。ムリムリ。

ちょっとだけ気になることが、ひとつあって、ハルコンネン家の男爵が

前作でも今回でも宙に浮かんでいるんですが、特に前作の男爵が

鞠のように空中を飛び交う様子は、倉橋由美子の「スミヤキストQの冒険」に

同様のシーンがあったような記憶があります。これを確かめるために

「スミヤキストQの冒険」をもう一度読む気にはなれません。しかし、

倉橋由美子作品のどれかを読んでみたいという気持ちが全然ないわけでは

ありません。ブルーベルベット(1986) は、いずれ機会をつかまえて

観てみようと思います。

マリー・アントワネット (2006)

有名な「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」という言葉も

王室をおとしめる悪意が流布されたものだという見方を示すなど、

一般的なマリー・アントワネット像を踏襲することなく描きながら、

実際にヴェルサイユ宮殿を使って撮影を行ったことでリアリティにも

気を使ってます。一方で、マノロブラニクが担当したシューズは、

思わず「おいしそう」と、つぶやいてしまうほど魅力的で、それは

そのまま、マリー・アントワネットを華やかに描くための大切な

アイテムとなっていました。

この映画では、マリー・アントワネットの愛人のハンス・アクセル・フォン・フェルセンを

普通にモテモテ男として描いてますが、 Wiki によると、数ある結婚話を頑なに断り、

王妃マリー・アントワネットただ1人に愛を注ぎ、最後の最後まで王妃救出のために

献身的な奔走を続けたようです。庇護者であったスウェーデン王が暗殺されて政治的に

失脚したけど、その後継者であるグスタフ4世が親政を開始すると復権し、元帥にまで

出世しちゃいます。しかし、やがて、グスタフ4世はクーデターにより王位を奪われますが

新しい王の王太子暗殺に関わったと疑われたり、最後の最後には群衆に殴り殺されて

死んじゃうという波瀾万丈な生涯を送った人物のようです。この男を主人公にして

映画を作ったほうがヒットしたんじゃないですかねえ。

サウルの息子 (2015)

ライフ・イズ・ビューティフル (1998) がTVで放映されたので録画して

見ました。私が苦手な喜劇だったので早送りしていたらナチの収容所に

送り込まれるシーンに差しかかったため、通常の再生速度に戻して

最後まで見ました。悪い映画じゃない……どころか少し良い映画だとは

思います。その結果、鑑賞するのを一日延ばしにしていた「サウルの息子」を

観なければならないという気持ちが高まってきました。で、やっと覚悟して

観ることにしました。ホロコーストを題材とした映画は、覚悟がいるんですよ。

でも、覚悟を持って観たのでズシンとくる重い直球を何とか受け止めることが

できたものの、何と投げられた球は鉄球だったので、もう少しで尻もちを

ついてしまうところでした。

↑↑↑ が、冒頭のシーンです。どこにもピントが合ってません。

画面の奥の森から、どうやら3人の男がこちらにやってきます。↑↑↑ まで

近づいてもピンボケ状態です。でも、私は、こういうカメラワークとは思わず、

日本での上映用のためのボカシ?って思ってしまいました。でも、冒頭から

ボカシを入れなきゃなんないシーンじゃありませんよね?

まあ、そういう邪魔が少しはありましたが、映画のテンポと無駄な説明が

一切ない展開は、息苦しいほどで、これまで観たホロコースト映画が、

「お話」で、この映画で初めて実写版ホロコースト映画を観た!と感じました。

とにかく、リアル感がハンパありません。人が家畜以下の「部品」でしかない

状況で、絶望的な業務を生き急ぐかのように、こなしていくゾンダーコマンド達。

もう一度観るしかないかなあ。目の前で凶悪事件が起きたのに、何を目撃したのか

頭の中にうまく書き込みができなかったような感覚です。

御法度 (1999) と メゾン・ド・ヒミコ (2005)

大島渚作品をもう一本くらい見ておこうと、御法度 (1999) を

何の予備知識もなく観ました。ところが、これが新撰組を舞台とした

衆道の話。キャスティングは、

近藤勇:崔洋一
土方歳三:ビートたけし
沖田総司:武田真治

とりあえず、最後まで観たものの、どのように評論したものか

まとまりそうもないので、さらに、もう一本、これまた

何の予備知識もなく メゾン・ド・ヒミコ (2005) を観ました。

偶然とは恐ろしいもので、これが、ゲイだけが入居できる

やすらぎの郷の話。柴崎コウの勤務先の事務所の備品の電気スタンドが、

私の結婚式の引き出物によく似たデザインだなあみたいなことを眺めてた

映画に対して、うーむ。どのように評論したものか……

どちらも、悪い映画ではないと思います。特に、メゾン・ド・ヒミコの

オシャレなラストは好きです。でも、アメリカン・ビューティーを高校生が

観に行ったようなものでした。今後、男性の性同一障害者の方の人生と

交差するような経験があれば、また、違った見え方があったのかも

知れません。

私は高校生の時、2001年宇宙の旅を映画館で観ました。そのとき、

場内はすいていたのですが、なぜか、わざわざ隣席に座ってくる

男性がいて、しかも、脱いだコートを膝の上にバサッと置いたので、

一部が私の膝にかかりました。決して愉快な状況とは言えませんが、

私は、何らかの反応をすることなく再びスクリーンに集中しました。

すると、その男性側の私の腿が、な~んか、もぞもぞするので、

脚を組み替えたら、隣の男がサッと立って出て行ってしまいました。

そのときになって、やっと、男は痴漢で、私は強制わいせつの被害者に

なってしまったことを理解したのです。バサッと置いたコートは

犯行をカムフラージュするためだったんだということがわかり、

わかったとたん、ムカムカ、ムカムカ、映画鑑賞どころではなくなって

しまいました。まあ、それがトラウマになって、この2本の映画に

感情移入できなかったというわけでも何でもないのですが……

アメリカン・ビューティー (1999)

これまた、いい映画でした。年を取ることの楽しみは、こういう映画を

楽しめるようになることなんでしょう。しかし、きちんと味わうためには

セリフを味わうことが必要条件でした。例によって、最初は英語字幕版を

観賞したので、あらすじはわかっても、繊細な味やコクが味わいきれないため

賞味期限切れのビールのようなものでした。とても精巧に作られた脚本に

基づくこの映画の場合、どんなに詳細にあらすじを知らされても、

それだけではダメなことは、英語字幕版を観ていて強く感じました。

そこで、よせばいいのに、自分で英語字幕を訳してみたのですが、10分足らずの

部分を訳すのに3時間ぐらいかかり、あとで日本語字幕版を観たら

誤訳だらけとわかりました。それに、上手ですね。どういうふうに訳すか

四苦八苦したソテツの木も、プロの日本語字幕では、あっさりと「木」と

訳してありました。さすがですねぇ。でも、あまりの意訳に、原語の

ニュアンスが違うものになっていたりもすると思うのですが、そのことに

気づくことが不可能なのはツライところですね。でも、こればっかりは、

語学力を飛躍的に高めるしかないし、それって、望むべくもないところです。

年を取ることの哀しみは、そうやって、あきらめてしまうところに

あるのですが、近年の AI の進化により「音声認識技術」が飛躍的に

向上しつつあり、次々と実用化されつつあります。

あるクレジットカード会社では、コールセンター業務にリアルタイム

音声認識技術を導入したそうです。オペレーターがお客様との会話内容を

手入力すると時間がかかり、入力ミスも少なくありませんでした。

音声認識技術の導入により、通話しながらリアルタイムで音声をテキストに

変換・表示できるようになったため、オペレーターがゼロから入力する手間が

なくなって、時間削減と業務効率化を実現したといいます。

電話の場合は伝送時の帯域を制限しているため、通常の音声よりも認識しにくい

特殊な信号となっています。そのため、電話音声用に学習した専用のモデルを

使用して認識精度を高めているといいます。

Googleは、音声文字変換&音検知通知アプリ、「Introducing Live Transcribe 」を

Android に搭載しましたね。スマートフォンがあれば、ほぼ、リアルタイムに

周囲の音声をテキスト化してくれるということです。

音声でさえ、そうなのですから、文字の翻訳は、さらに進化を続けて行くでしょうし、

そのスピードは、私などがどんなにあがいても追いつけないスピードでしょう。

……と、やらない理由をあげてしまうのが、年を取った者の 狡猾さでしょうね。

しかも、見え見えなのに、そのやらない理由に簡単にダマされたふりをするという

二重の 狡猾さ。

あーっ!イヤだ、イヤだ。昨日、ある人と話していて、そういえば、この正月に

私は古稀を迎えてたことに気づきました。数え年なんか使わないから自身も含めて、

だ~れも気づきませんでした。

どうも、映画の話から遊離してしまいますね(これも、年を取った者の……)

のユーザーレビューの中に、

》庭の手入れをする妻の剪定バサミとガーデンシューズの色がピッタリ同じなのは
》偶然じゃない、という節がとても気に入った。

という一節があったのですが、これは、英語のセリフでは、このあと、

どちらも、 Miracle-Gro というガーデニング用品のブランドを使ってるから

というネタばらしというか、説明があるのですが、日本語字幕では

サクッと、その部分を省略してるんです。特別に深い意味があるわけじゃ

ありません。まあ、どういう形であろうと映画を楽しめればいいんですけど。

私もきっと揃えると思う。でも、そんな実用目的、ましてや家庭内のものまで
》人目を意識する女にうんざりということなのだろう。

しかし、↑↑↑とまで、深読みできるってことは、スゴイって思いました。

この映画の面白さは、アトランティック・シティ (1980) に通じるものを

感じます。前者はイギリス人の眼を通して見たアメリカ。後者はフランス人。

でも、前者はオスカーを獲り、後者は無冠に終わってしまいました。

前者は、R18+ 指定で、後者は、R指定なしという違いもあります。

でも、特に前者は、R38+ 指定くらいだったら、もっと、高い評価を

得たんじゃないでしょうか。その R指定でも、アラフォーで、この映画の

面白さが分かるというのは、ちょっと哀しいところがあります。

Swallow (2019)

日本では、今年の元日に公開されたそうですね。少なくとも、

元旦に観る映画ではありません。思いっきり、重い映画です。

この映画を

「美しくも恐ろしい、そして衝撃的なスリラーがここに誕生した。」

というキャッチコピーで宣伝するというのは、感心しませんが、

“欲望”をのみこんでゆく-。には、もっと強い違和感を感じます。

主人公が抱えた深く悲しい闇をスリラーとか “欲望” とかいう言葉に

置き換えて欲しくありません。

アメリカで「中絶禁止」州が広がっているという危機が、まさに今、

そこに起きています。それは、どういう問題なのかを深く考えるべきで

あることをこの映画は訴えています。

山口敬之のような唾棄すべき男達こそ、この映画を観るべきですが、

おそらく、彼らは、この映画を観ても気づきを得ることができないと

思います。だからこそ、産むか産まないかは、女性本人が決めなければ

ならないし、宗教や、まして州法などが決めてはならないのです。

ミフェプリストンやミソプロストールは、この映画を観て知りました。

しかし、そんな解決法ではダメだということをもっと多くの人が

知るべきです。

ところで、日本は、女性本人が決められるから良かったと思う人が

多いと思います。しかし、現在も堕胎罪は有効です。しかも、

女性本人と堕胎を直接的に手伝った者だけが罪を問われ、相手である

男性は罪に問われません。ちなみに、昨年、岡山市の病院に勤務する

医師が交際相手の同意なく中絶手術を行ったとして逮捕されましたが

刑法 第二十九章 堕胎の罪 第215条不同意堕胎および、第216条不同意

堕胎致死傷に問われたもので、バリバリに生きてます。

じゃあ、女性の意思で中絶可能な時代になっていると多くの人が

なぜ勘違いしてるかというと、優生保護法の中で人工妊娠中絶の要件に

経済的理由を認めていて、事実上、ほとんどの場合中絶を認められる

仕組みになっているからです。これって、どっかで聞いたことが

あるような……パチンコは、ギャンブルじゃないのかと言われながらも

遊戯であるという理由で認められているのと似てません?

それに、女性本人だけの意思で中絶できるわけではありません。

少なくとも、医師と配偶者の同意は必須です。しかも、レイプされた

場合でも中絶手術を受けるには相手の同意が必要としている病院が、

ほとんどです。そもそも、堕胎罪が明治以来残り、優生保護法は

女性の権利を守るためという目的ではなく、「健康な子ど もだけを、

国家に必要な数だけ産む生殖機能」を保護するという目的から

出発したもので、その前近代的な思想は今も残っていて女性を

苦しめ続けていることを我々は知ることから始めなければばりません。


実は、1972 年に人工妊娠中絶の要件から経済的理由を外す法案が

上程され、1974 年に「その胎児が重度の精神又は身体の障害の原因となる

疾病又は欠陥を有しているおそれが著しいと認められるもの」を要件として

加えるという胎児条項は外して衆議院で可決してしまいました。しかし、

参議院で、 審議未了・廃案 となったことで、からくも優生保護法の改悪を

免れたという経緯もあります。アメリカだけの話じゃありません。

友よ、静かに瞑れ (1985)

まったく、期待せずに観たのですが、いやあ、なかなかのもんです。

まず、R30型スカイライン1800TI に左手を握られ、時代に取り残された

沖縄の裏町に右手を握られます。ケンメリ、ジャパンと継承してきた

4灯式丸型テールランプではなく、角形。GTではなく、TIというのが

渋い!例によって、録音が悪くて、ときどき、セリフが聞き取れません。

しかし、大勢に影響しません。物語の進行は、じりじりするほど、ゆっくりです。

あまりにゆっくりなので、イラッとしなかったと問われたら、正直、

少しはしましたが、テンポ良く進めると北方謙三が用意したネタだけでは

足りなくなる?てなことはないんでしょうけど、妙に藤竜也が強すぎること

以外は、そんなバナナという設定は少なくて物語を楽しむ邪魔をしません。

ラストが、カッコいいですよ。まさか、クリント・イーストウッドは、

この映画を観てませんよね?TI つまり、Touring Interbational ではなく、

上級車 GRAN TORINO ですし。

アトランティック・シティ (1980)

いい映画を観たなー。満足。

この映画のロケは、アトランティックシティを実際に使用しているにも

関わらず、どこかパリの裏町を感じてしまったんですが、それが、

オスカーの主要5部門(最優秀俳優賞、最優秀女優賞、最優秀監督賞、

最優秀映画賞、最優秀脚本賞)のすべてにノミネートされながらも

無冠に終わってしまった要因のひとつなのでしょうか?しかし、

全米映画批評家協会賞の作品賞と監督賞をダブル受賞しているのですから

そうでもないのかな?ブラック・レインで描かれた大阪に、ほとんどの

日本人は違和感を感じたと思うんですね。

実際のアトランティックシティは、当時、カジノが合法化された直後で

古い建物を倒して、新しいカジノの建設ブームの真っ最中だったのですが

この映画では、そういう前途に夢が広がっている的な明るさは皆無です。

カジノを公認すれば、アトランティックシティは、東のラスベガスとして

飛躍的な発展をとげると多くの人が信じました。ドナルド・トランプも、

おそらく、その一人だったのでしょう。「トランプ・プラザ」

「トランプ・キャッスル」「トランプ・タージマハル」を90年代前半までに

オープンし、カジノ帝国を形成しますが、カジノは破産し、唯一、

トランプの名を冠して残った「トランプ・タージマハル」も人手に

渡りました。しかし、トランプは「 カジノから利益を最後まで搾り取った」と

豪語したと伝えられていますが、数千人の人々が職を失い、多くの下請け企業が

売掛金の一部しか受け取れないハメに遭いました。

トランプは、アトランティックシティをゴーストタウンにして立ち去りましたが、

もし、彼が大統領選で再選されていたら、アメリカ全土が、そうなっていたかも

知れません。(いや。そこまでの力はないか……)

日本では、汚職事件とコロナ感染で冷や水を浴びせかけられた形の IR ですが、

統合型リゾートとなった都市が、日本のアトランティックシティとなりかねない

という視点でとらえることができる地方自治体の首長がどれだけいることか。

映画の話に戻りますが、バート・ランカスター演じるルウは、どんづまりの

みじめな状況から「女を守る男になれて」人生を切り開くことができたように

見えます。しかし、それが今後も続く保証なんて何もないし、むしろ、暗雲が

立ちこめているように見えます。しかし、サリーの妹が出産して、アニキ分の

情婦だった老女と一緒に疑似家族をスタートできたら晴れやかな人生が

待っているのかも知れません。サリーは、サリーで実際にモンテカルロに

たどり着けるかどうかわからないし、たどり着けたからって夢に近づけるか

どうかわかりません。でも、そんな先のことがどーなろうといいの。

いい映画を観ることができたんだから、それで充分。

Love (2015)

ハズレ映画の話をする前に、ジンちゃんは無事に車検を済ませて

今は、ガレージでスヤスヤ眠っていることを報告しておきます。

で、本題。救いがたいです。この映画。どうヒドイのか、いくらでも

書けますが、その作業をすること自体がイヤでたまりません。

しかも、この映画を日本で上映したんですね。5分間以上、男性の

股間がボカシっぱなしのシーンを見続けたんですかね。観客は。

しかも、繰り返し繰り返し男性器は登場します。

この映画をチケット代を払って見るってことが、もう信じらんない。

時間をドブに捨てるだけではなく、お金まで添えてしまうって、

なんという事でしょう。で、調べてみたら、3Dで上映したようです。

3D料金上乗せですよ!3Dポルノなら、ボカシ入っていても

きれいなネーチャンが、10人以上露天風呂でキャピキャピしている

ところへ透明人形状態で一緒にいられる 1073DSVR-0168 のほうが

100倍楽しいです。スマホ用のゴーグルをダイソーで500円で

買ってくれば充分楽しめます。画質が気に入らなければ、もう200円足して

100円ルーペ2個買ってきて取り替えたら格段に画質が向上するらしいです

要するにポルノを見たいのなら、普通にポルノ見たほうが満足できるし、

映画としてポルノを見たいっていうなら、たとえば、Lars von Trier とか、

もう一歩踏み込んで、Jacky St. James が、オススメです。特に後者は、

ポルノを劇場映画品質にまで迫らせている女流の脚本家・監督・制作者です。

この映画で、ギャスパー・ノエ監督は、子宮口あたりから膣内を映して

ピストンする亀頭を撮ってますが、このシーンは2度ほど見たことが

あるような気がするんですね。一度は、以前に、この映画を見たことが

あるからかも知れませんが、もう一回は性教育用のビデオで実際に

このアングルでの撮影をしていたと記憶しています。日本で、この映画を

見た人は、なんだか画面一杯にボカシが入った状態から客席に向かって

立体的に精液を浴びせかけられるという体験をしたのでしょうかねぇ。