ムリッ!
登場人物の誰ひとりとして共感できないままでした。
彼らの世代、彼らの親世代として、あるいはそれが「フツー」なのかも
わからないけれど、私のフツーではないのです。
しかし……と考えてみます。自分自身が大学生だった頃のことを。
彼らより、もっともっと、ガキでした。背伸びして大人ぶろうともしないほど
ガキでした。当時の自分に何一つ共感できない。なのに登場人物に
対して、批判的になることができるのかと。
わたし達はおとなと称するだけでおとなとして認められるわけではないのと
同時に、おとなは自らをおとなと自称したりしない。そして、恥ずかしいことに
72歳になっても、全然、おとなじゃないことを知っているのに
なぜ彼らをそんな眼で見てる?彼らの年齢だった頃から、ずいぶん歳月を
経てしまったので忘れてしまった?
彼らと、あまり歳が違わない若い頃に、この映画を観たら、より彼らに近い
視点から自分に置き換えることができて、もっと、感情を揺さぶられて
身もだえしたかもしれない。
その視点でみると、えっ?今でも同棲したら炊事洗濯は女のコの役割?
妊娠する性と妊娠させてしまう性の格差が何も変わっていないのは、
なぜ?と思考を巡らせた可能性だってあるはず。それができなかったのは、
同じ幼い時を通過してきたのに何一つ成長できていない自分への後悔が
この映画への嫌悪感として表面化したからでしょうか。