モノクロ映画ですからね、ポスターも白黒写真を色づけしたエセカラーポスター。
作品の概要は、
ドブ臭い空気が充満する貧民窟で育った、三人の黒木兄弟。 長兄の市郎は、年老いた母の
金を奪うと、新興ヤクザ岩崎組に入って幹部になった。次兄の次郎も、母を裏切ると、
あらゆる悪の道に手を出しながら、金持のパトロンを持つ杏子のヒモとして、一匹狼と
なっていた。そして末弟の三郎は母の最期をみとると、チンピラの群れに加わる。
うだつのあがらない生活に倦きた次郎は、新しい人生のために国外脱出しようと
心に決め、その資金のため、岩崎組の麻薬取引現場を襲い、四千万の金品を奪おうと企てる。
兄に凄まじい憎悪を抱く三郎も、一人頭五万円の分け前に、半信半疑ながら強奪作戦に
加わる。 そして計画は成功したかのように見えたのだが…
市郎を三國連太郎 。次郎は、高倉健。三郎が、北大路欣也。杏子は中原早苗(中原ひとみじゃ
ありません)
中原ひとみは、この映画の5年前に江原真二郎と結婚してます。この映画では、江原真二郎は
高倉健とタッグを組んで岩崎組と渡り合う役柄ですが、二人ともワルなので固い信頼の絆なんて
ないんです。
中原早苗は、この映画の翌年に、この映画の監督の深作欣二と結婚します。深作欣二は、
松阪慶子や魔性の女、荻野目慶子などと浮き名を流し、荻野目慶子とは10年続いたと
言われてますが、中原早苗は深作欣二が死ぬまで添い遂げます。その他、石橋蓮司、
室田日出男、八名信夫が出演しています。
後の名作、仁義なき戦いの原点とも言うべき作品で、高倉健も、容赦ない拷問をするなど
後の昭和残侠伝、網走番外地、日本侠客伝のようなカッコいいだけの役ではなく充分に
ワルなんですが、それでも、カッコいいのです。
そういう後のヤクザ映画や、出演者たちの、その後を知った上で、この映画を観ると
ストーリーとは別の楽しみもあって、モノクロ映画ですから安っぽい画がなくて、血は血に
見えるし壊される肉体もリアルなんです。それに、貧民街の大勢の住人達を大勢の人々が
演じていて、これまたリアルそのもので、最初っから最後まで、のめり込むように鑑賞して
しまいました。
入手できるなら、是非とも鑑賞なさるようオススメします。しかし、ヤクザ映画自体に
アレルギーを持つ方は決してご覧にならないほうがいいでしょう。