不動産譲渡所得をなかったことにする (完結編)で触れたように、
売主は、その年の固定資産税を支払っているので、買主から
売買契約以後の未経過固定資産税に相当する額を受け取ることが
通例になっているのですが、税務署は、その受け取った額は
売主の譲渡所得となると言うんですね。
義母の場合は、不動産譲渡所得はなかったことになったので、
固定資産税の月割り分として受け取った額も、なかったことになり、
所得として計上せずに提出した確定申告署の訂正も税務署側で
やってくれるということで、実害があるわけではないのですが
釈然としない思いだけが残りました。
そこで、調べてみました。固定資産税は、その不動産を1月1日に
所有していた人が払うことに法律で決まっています。たとえ、
1月2日に売却しようとも、売主が、その年の固定資産税全額を
払わねばなりません。1月1日に所有者でない買主には固定資産税の
支払い義務はありません。このことから、国税庁は下記のような
判断から
固定資産税等の賦課期日とは異なる日をもって土地建物の売買契約を締結するに際し、
買主が売主に対し、売主が納税義務を負担する固定資産税等の税額のうち未経過固定資産税等に
相当する額を支払うことを合意した場合、この合意は、土地及び家屋の売買契約を締結するに際し、
売主が1年を単位として納税義務を負う固定資産税等につき、買主がこれを負担することなく
その土地及び家屋を所有する期間があるという状況を調整するために個々的に行われるものであると
考えられます。このことからすれば、支払を受けた未経過固定資産税等に相当する額は、実質的には
その土地及び家屋の譲渡の対価の一部を成すものと解するのが相当と考えられます。
という立場をとって、譲渡所得に算入するのです。
つまり、元々、買主には、未経過固定資産税等に相当する額を支払う義務が
ないのに、それを支払った場合、それは実質的に譲渡の対価の一部であるから
譲渡所得と解するのが妥当だという変な理屈です。
元はといえば、たった1日所有しただけでも、その日が1月1日なら、所有者が
1年分全額を支払えとなっている法律が社会通念とは合わないから当事者同士で
固定資産税を按分したのに、社会通念とは合わない法律を盾に、固定資産税の
お釣りにまで譲渡所得税をかけているというわけです。ちなみに、固定資産税を
分納していても売買後も売主が最後まで支払わねばなりません。
つまり、払わなくてもいい固定資産税未経過部分を勝手に買主は支払ったわけ
なので、それを受け取った売主には譲渡所得税を国税、地方税合わせて
20%いただきますよ。ということです。
これはおかしいぞと、これまでに何度も国税不服審判所に訴えはありましたが
ことごとく、原処分庁の主張を適法と認めているようです。(調べた限りは
ずべてにおいてなのですが、すべてを調べたわけではないので)
じゃあ、元々の 固定資産税等は、その賦課期日である毎年1月1日現在において、
固定資産課税台帳に所有者として登録されている者に対して課されるものという
地方税法そのものがおかしいのではないかという訴えについては、どうなって
いるのかについて調べだしたところで、これはさすがに、私の手には負えないと
モヤモヤをかかえたまま、一旦、敗退します(涙)
しかし、死亡保険金を年金の形で受け取る生命保険について、相続税と所得税の
両方を課税するのは、2重課税で違法との判決を最高裁がくだしたことで、
国側は同種契約の生命保険で徴収し過ぎた所得税を還付することになってしまった
ように、誰か、固定資産税と所得税、さらに消費税の三重取りは、おかしいぞと
最高裁に認めさせて、大騒ぎにしてくれないかなあ。
もちろん、揮発油税と消費税の二重課税も。