不動産譲渡所得をなかったことにする (完結編)

投稿者: | 2022年6月10日

去年の確定申告で義母の保証債務履行のための不動産譲渡所得をなかったことにする

申告をしました。去年の確定申告の締め切り日は4月15日でしたが、提出日は

3月17日でした。7月になっても税務署からは一度も呼び出しはなく、税金の隷書も

来なかったので、申告は認められたものとばかり思っていました。

ところが、今年の4月9日に、

令和2年度分の譲渡所得の申告内容について調査を行いますので、誠に恐れ入りますが、

下記1の日時にこの書状のほかに下記2の書類をご持参の上、当署資産課税(担当)部門に

お越しいただきますようお願いいたします。

という書留が義母宅に届きました。日時の指定はありますが、当日差し支えがある場合には

担当者まで御連絡くださいとは書かれていました。差出人名は税務署長です。

何と!北嶺。すっかり安心しきっていましたからビックリです。申告から1年以上経って

文句を言ってくるとは思いもよらなかったのですから(文句ではなく調査とは書いてますが)

結局、税務署が求めているのは、求償権の履行が不可能である旨が分かる書類で、義弟の

会社は倒産手続きをせずにほったらかしで幽霊会社ながら登記上は存在します。

存在する以上は将来的に求償権を履行できる可能性が残るので不動産譲渡所得を

なかったことにする特例の適用ができないというのです。そんなの悪魔の証明じゃ

ないですか。ないことを証明するのは、ほぼほぼ不可能だと思ってました。

税務署には、数回通って弁済の金の流れを明らかにすることに関する調査や

土地売買の契約書の実物の確認、当事者である義母との面会などの手順を踏んで

残るは、求償権の履行が不可能であることの証明だけになりました。

ことここに至って、税務署から「債権放棄するお考えはありませんか?」という

問いかけがありました。そんなあ!とんでもない!って思いました。しかし、

これこそが悪魔の証明方法だったのです。つまり、義弟の会社に対する求償権を

放棄すれば、将来的にも求償権の行使は不能となるので求償権を放棄し、それを行った

という証明をすれば求償権の履行が不可能であることが税務署にもわかってもらえる

ということのようです。税務署は「こうしなさい」とは言いません。「こうする気は

ありませんか?」と言うだけなのです。私も、税務署の「提案」にはムッと来ましたが

よくよく聞いてみて仕組みは見えて来ました。

これが法人であれば、どうせ返って来ない金ならば放棄して、せめて税金でも

安くしてもらおうと、すぐさま判断もつくし、そのための知識もあるのでしょうが、

私には税務署からヒントをいただけなかったら思いつくこともできませんでした。

義弟の会社は、すでに事務所を引き払ってしまっていて所在地に債権放棄の通知書を

送っても届きません。そこで、代表者である義弟宛に送るのですが内容証明郵便を

送っても居留守を使って受け取らない可能性があります。そこで、債権放棄通知書を

内容証明郵便で送ると同時に同じ内容を記したものを特定記録郵便としてポストに

入れてもらいます。すると到達主義の原則から文書が相手の了知可能な状態に入れば

意思表示は到達したと考えるということになるというのです。

案の定、義弟は居留守を使ったのか不在だったのかはわかりませんが、内容証明郵便は

受け取らず、再配達も要請せず、結局、義母のところに保管切れで返送されて来ました。

しかし、特定記録郵便の配送履歴が「お届け先にお届け済み」となっているので

(インターネットの郵便物追跡ページを印刷して持っていっただけで税務署は到達したと

認めてくれました)義母の意思表示は到達したことになりました。

税務署からは、「令和2年度分の譲渡所得に関する申告を修正する必要はありません」

という内容の電話があっただけですが、これでめでたく譲渡所得はなかったことに

なりました。ただし、令和2年3月17日を起算日として7年間、申告に関する書類を

保管しておく義務が残りました。

債権放棄通知書の文面も、受け取らない場合の方法も、全部、インターネットを

検索すればわかる時代なので何とかなりましたが、ネット環境が普及する前だったら

大変だった……というか、いくら図書館に通っても無理でした。

でも、一昨年の義弟夫婦との折衝に関しては、高校時代の一級下の後輩が弁護士を

やっているので相談に乗ってもらいました。もちろん、先輩としては、きちんと

相談に要した時間分の相談料は払いましたが、本当に親身に相談に乗ってくれて

私がどうしても処罰感情にかられてしまうところも、きちんといさめてくれて

本当に感謝してます。でも、感情は残りますけどね。

おまけですが、土地の売買は、令和2年7月に完了しました。義母は、その土地の

1年分の固定資産税を払ってますから、買主は令和2年8月以降の固定資産税に

あたる金額を月割りで返してくれました。土地売買の場合の慣例のようです。

ところが税務署は、その返金額は義母の所得にあたると言うのです。これは、

どう考えても納得できません。払いすぎた税金のお釣りをもらったようなもので

所得というのは変です。揮発油税にまで消費税をかける国のことですから、

こんな無理無体を言ってくるんでしょうけど、絶対におかしい!

不動産譲渡所得をなかったことにする (完結編)」への2件のフィードバック

  1. Shunpa

    なかなか面倒そうな手続きでしたね。私はカミさん共々両親は他界しており、親からの相続手続きは済んでいて、他人の保証人などにもなっていないので、自分の税金だけ漏れなくやっておけば大丈夫ですが、雑所得が有るので毎年の確定申告が必要で、もう少し年を取ると自分では確定申告が出来なくなってしまうかも知れません。

    土地の買主から返金された固定資産税相当額は、買主が納税しているので「返金=所得」というロジックなのだろうと推測しますが、「国の借金が~~」と国民をだまして、隙あれば増税して国民から銭をむしり取ろうとする国(財務省)には腹が立ちますね。

    返信
  2. 何処吹く風 投稿作成者

    たとえば、申請書類には「求償権の行使不能となった年月日」を

    書く欄があるだけだったりするんですけど、本文に書いたように

    何をもって行使不能とするかが問題だったんです。

    いろいろ考えた末に2通送った求償権を行使する通知書の

    遅いほうの支払期日を記入しました。しかし、これでは税務署から

    「行使不能となった日とした理由は?」聞かれると思い、

    確定申告したあとの何ヶ月か、いつ言ってくるんだろうかと

    ビクビクしてました。

    》 「返金=所得」というロジック

    国としては、固定資産税を取りはぐれるわけではないんです。

    売主としては、払いすぎた固定資産税を返してもらっただけ。

    いわば、お釣りなので、それを所得というのはおかしいと

    考えるのです。それと、細かい話ですが買主は、その年に

    ついては、固定資産税を払うことなく(すでに、売主が

    全額納税しているので。もし、分納なら、買主からの返金額は

    分納の残り月分だけとなり、続きの分納は買主がすることに

    なると思われますが……)

    払いすぎた税金を返してもらったら所得にあたるとなれば、

    確定申告で還付された金額は所得だという論理になり、

    翌年の確定申告で雑所得としなければならないことになって

    むちゃくちゃですよねと言いたいのです。

    返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語を使って書いてね。外国語わかんない。