アメリカン・ビューティー (1999)

By | 2021年1月27日

これまた、いい映画でした。年を取ることの楽しみは、こういう映画を

楽しめるようになることなんでしょう。しかし、きちんと味わうためには

セリフを味わうことが必要条件でした。例によって、最初は英語字幕版を

観賞したので、あらすじはわかっても、繊細な味やコクが味わいきれないため

賞味期限切れのビールのようなものでした。とても精巧に作られた脚本に

基づくこの映画の場合、どんなに詳細にあらすじを知らされても、

それだけではダメなことは、英語字幕版を観ていて強く感じました。

そこで、よせばいいのに、自分で英語字幕を訳してみたのですが、10分足らずの

部分を訳すのに3時間ぐらいかかり、あとで日本語字幕版を観たら

誤訳だらけとわかりました。それに、上手ですね。どういうふうに訳すか

四苦八苦したソテツの木も、プロの日本語字幕では、あっさりと「木」と

訳してありました。さすがですねぇ。でも、あまりの意訳に、原語の

ニュアンスが違うものになっていたりもすると思うのですが、そのことに

気づくことが不可能なのはツライところですね。でも、こればっかりは、

語学力を飛躍的に高めるしかないし、それって、望むべくもないところです。

年を取ることの哀しみは、そうやって、あきらめてしまうところに

あるのですが、近年の AI の進化により「音声認識技術」が飛躍的に

向上しつつあり、次々と実用化されつつあります。

あるクレジットカード会社では、コールセンター業務にリアルタイム

音声認識技術を導入したそうです。オペレーターがお客様との会話内容を

手入力すると時間がかかり、入力ミスも少なくありませんでした。

音声認識技術の導入により、通話しながらリアルタイムで音声をテキストに

変換・表示できるようになったため、オペレーターがゼロから入力する手間が

なくなって、時間削減と業務効率化を実現したといいます。

電話の場合は伝送時の帯域を制限しているため、通常の音声よりも認識しにくい

特殊な信号となっています。そのため、電話音声用に学習した専用のモデルを

使用して認識精度を高めているといいます。

Googleは、音声文字変換&音検知通知アプリ、「Introducing Live Transcribe 」を

Android に搭載しましたね。スマートフォンがあれば、ほぼ、リアルタイムに

周囲の音声をテキスト化してくれるということです。

音声でさえ、そうなのですから、文字の翻訳は、さらに進化を続けて行くでしょうし、

そのスピードは、私などがどんなにあがいても追いつけないスピードでしょう。

……と、やらない理由をあげてしまうのが、年を取った者の 狡猾さでしょうね。

しかも、見え見えなのに、そのやらない理由に簡単にダマされたふりをするという

二重の 狡猾さ。

あーっ!イヤだ、イヤだ。昨日、ある人と話していて、そういえば、この正月に

私は古稀を迎えてたことに気づきました。数え年なんか使わないから自身も含めて、

だ~れも気づきませんでした。

どうも、映画の話から遊離してしまいますね(これも、年を取った者の……)

のユーザーレビューの中に、

》庭の手入れをする妻の剪定バサミとガーデンシューズの色がピッタリ同じなのは
》偶然じゃない、という節がとても気に入った。

という一節があったのですが、これは、英語のセリフでは、このあと、

どちらも、 Miracle-Gro というガーデニング用品のブランドを使ってるから

というネタばらしというか、説明があるのですが、日本語字幕では

サクッと、その部分を省略してるんです。特別に深い意味があるわけじゃ

ありません。まあ、どういう形であろうと映画を楽しめればいいんですけど。

私もきっと揃えると思う。でも、そんな実用目的、ましてや家庭内のものまで
》人目を意識する女にうんざりということなのだろう。

しかし、↑↑↑とまで、深読みできるってことは、スゴイって思いました。

この映画の面白さは、アトランティック・シティ (1980) に通じるものを

感じます。前者はイギリス人の眼を通して見たアメリカ。後者はフランス人。

でも、前者はオスカーを獲り、後者は無冠に終わってしまいました。

前者は、R18+ 指定で、後者は、R指定なしという違いもあります。

でも、特に前者は、R38+ 指定くらいだったら、もっと、高い評価を

得たんじゃないでしょうか。その R指定でも、アラフォーで、この映画の

面白さが分かるというのは、ちょっと哀しいところがあります。

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日本語を使って書いてね。外国語わかんない。