カナダ・インディアンの同化政策

By | 2023年10月3日

アンという名の少女 3 は、2回目の視聴になるのですが、アンが

ミクマク族の少女カクウェットと友だちになったことをきっかけとして

カナダ・インディアンをめぐる問題を重要なファクターのひとつとして

取り上げています。来週の10月9日(月)に放送予定の第10話が

シーズン3の最終話となりますが、第8話でカクウェットが知恵と

驚異的な体力で寄宿学校からの脱走に成功し居留地にたどり着く

ことができたのに今週の第9話では銃を携えた追っ手に捕まって

寄宿学校に監禁されてしまいます。アンとマシューとカクウェットの

両親の4人が救出のために寄宿学校に向かったものの取り戻すことが

できず、やむなくアンとマシューは一旦帰宅してカクウェットの両親は

娘から見えるであろう位置にティピーテントを組んで野宿を始めます。

娘を取り戻すための有効な手立てがないため、せめて、そばにいることを

娘に知らせるためです。

さて、BSプレミアム p.m.10:00~来週月曜日に放送予定の第10話で

女房の記憶では何らかの解決があったというのですが、私の記憶は

何も進展がないまま、シーズン4に持ち越されるという匂わせで

終わったというものでした。

ところが、好評だったはずなのにアンという名の少女はシーズン3で

打ち切りとなりシーズン4は制作されなかったため、私の記憶通りなら

もやもやを抱えた状態のままになってしまいます。寄宿学校問題は、

史実では1998年まで続くので解決されるはずがありません。

2021年の5月にブリティッシュコロンビア州の先住民寄宿学校の跡地から

子ども215人の遺骨が見つかり、翌6月にはサスカチュワン州にあった先住民の

寄宿学校の跡地で、無記名の墓が751基が発見されました。

1863年から1998年までに約15万人のカナダ・インディアンの子供が

寄宿学校での生活を強制され、身体的、性的虐待を受けて6千人の子供が

命を失ったと言われています。

寄宿学校がすべて閉校した現在でも先住民の女性や少女が殺されたり

行方不明になる事例はなくなっていません。行方不明になっても捜査も

しないし、死体が見つかっても検視もしないという状況は変わらず

「家出をしただけだ、そのうち帰ってくる」「薬物やアルコールのとりすぎだ」

「事件ではない、ただの自殺だ」といった人の尊厳を無視した判断が

まかり通っています。

こうした問題は、カナダだけではなくオーストラリアやスウェーデンでも

起こっています。サーミの血 (2016) は、スカンジナビア半島の北部

ラップランドに住むサーミ人に対して国策として人権侵害が行われて

きたことを描いた映画です。

宗教的な迫害を含めれば、こうした人権侵害は世界中のほとんどの

国や地域で行われてきて、今も続いているのでしょう。日本も例外では

ありません。アイヌ人や琉球人に対する差別や迫害、明治時代に

穢多非人等の称廃止令によって平民に編入された者達を新平民と

呼んで差別した史実や隠れキリシタンに対する壮絶な迫害などが

完全に過去のものになったというわけでもありません。

在日コリアンに対する差別も、なくならないし、旧植民地出身者への

差別もなくなりません。たとえば、蓮舫議員の二重国籍問題なるものも

菅義偉官房長官は、

「7 日午前の記者会見で、民進党の蓮舫代表代行をめぐり浮上している
日本と台湾のいわゆる「二重国籍」疑惑について、「詳細は承知して
いないので、政府としてコメントは控えたい」とした上で、「ご自身が
説明すべき問題だ」と述べた。さらに、「一般論として申し上げれば、外国の
国籍と日本の国籍を有する人は、22 歳に達するまでにどちらかの国籍を
選択する必要があり、選択しない場合は日本の国籍を失うことがあることは
承知している」とも語った。」

と、産経ニュースに報じられています。

また、蓮舫議員が民主党議員として「事業仕分け」を担当し、名を馳せたとき、

平沼赳夫(元済産相)は

「言いたくないが、言った本人は元々日本人じゃない。(キャンペーン)ガールだった
女性が帰化して日本の国会議員になって、事業仕分けでそんなことを言っている。
そんな政治でいいのか」

と発言したことを毎日新聞に報道されています。

衆議院議員の菅原一秀は、2016 年の東京都知事選で出馬が取りざたされた

蓮舫議員を念頭に

「自分が日本人に帰化したことが悔しくて悲しくて三日三晩泣いた、と自らブログに
書いている。人気があるからといって選ぶような都民はいないと思うが、選挙は
えてしてそういうものだ」

と SNS の出所不明の情報(蓮舫議員は否定)を前提に発言して毎日新聞の

ニュース・情報サイトで配信されています。(後に撤回)

これらは、すべてミソジニー(女性嫌悪)にして人種差別的なヘイトスピーチですが

そういう文脈で公的に批判されることがなかった日本という国がカナダや

米国の黒人差別、ヨーロッパのユダヤ人への差別・迫害(反セム主義)と同様の

ものに根ざしていることは間違いありません。

「やさしい猫」の問題にまで話題を拡げようと思っていましたが、私自身の考えが

漂流してしまって収拾がつかなくなりそうなので、一旦、筆を(キーボードを)

置きます。

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