九段理江『東京都同情塔』

投稿者: | 2025年4月10日

数日前から、ふれあいセンターの図書室で読んでるのが『東京都同情塔』です。

読み始めると同時に小説世界に引き込まれ、溺れてしまいました。

登場人物は女性の建築家と彼女が所有する若く美しい男の子、自称レイシストの

アメリカのジャーナリスト。この3人とは別に、この小説の理論的背骨となる

概念を構築した幸福学者。主に彼の著作の引用という形で頻繁に登場します。

3人は独白という形で語ることが多く、しかも、それぞれが、あふれるほどの

言葉の津波を私に浴びせかけてくるのです。呼吸を確保するためにジタバタ

あがいているスキに、そっと仕掛けられた罠にハマって混乱してしまいました。

小説で語られてる世界は現実世界では建設されなかった ザハ・ハディド の

国立競技場が存在するパラレルワールドでの話であることに気づくのが遅れて

しまったのが原因でした。

さらに、もう1人? AI-built という名の生成 AI も、登場して、これがまた

言葉を一斉射撃してくるもんですから、ハチの巣になった私は息を吸っても

身体中の穴から漏れ出てしまって、ますます、呼吸困難に陥ってしまい、たぶん

酸素不足だと思うのですが、いつしか押し寄せる文字を目で追うだけで

津波の一番高い波の上をサーフィンしているかのように小説世界から弾かれて

しまっていたのです。

ちょうど良いタイミングで女房が迎えに来たので残り1/4を残した状態で

この小説から一時避難をして、この文章を書いてるわけですが、起承転結で

言えば、起承転まで読んだくらいなので、このまま読まなかったからって

後悔することはないだろうという予感は、たぶん当たるんだろうなあと

確信してます。来週の月曜日に、ふれあいセンターで読了することに

なると思います。

ザハ・ハディドの国立競技場が女性器であるなら東京都同情塔はペニス

なんでしょうか?幸福学者の論理はウマイところを突いてるのですが

A子さんを登場させたことで確かに同情を買うことはできても、ずいぶん

安っぽくなって損をしているような気がします。そんなことを考えていると

「結」の部分を読むのが楽しみになってきました。

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日本語を使って書いてね。外国語わかんない。