数日前から、ふれあいセンターの図書室で読んでるのが『東京都同情塔』です。
読み始めると同時に小説世界に引き込まれ、溺れてしまいました。
登場人物は女性の建築家と彼女が所有する若く美しい男の子、自称レイシストの
アメリカのジャーナリスト。この3人とは別に、この小説の理論的背骨となる
概念を構築した幸福学者。主に彼の著作の引用という形で頻繁に登場します。
3人は独白という形で語ることが多く、しかも、それぞれが、あふれるほどの
言葉の津波を私に浴びせかけてくるのです。呼吸を確保するためにジタバタ
あがいているスキに、そっと仕掛けられた罠にハマって混乱してしまいました。
小説で語られてる世界は現実世界では建設されなかった ザハ・ハディド の
国立競技場が存在するパラレルワールドでの話であることに気づくのが遅れて
しまったのが原因でした。
さらに、もう1人? AI-built という名の生成 AI も、登場して、これがまた
言葉を一斉射撃してくるもんですから、ハチの巣になった私は息を吸っても
身体中の穴から漏れ出てしまって、ますます、呼吸困難に陥ってしまい、たぶん
酸素不足だと思うのですが、いつしか押し寄せる文字を目で追うだけで
津波の一番高い波の上をサーフィンしているかのように小説世界から弾かれて
しまっていたのです。
ちょうど良いタイミングで女房が迎えに来たので残り1/4を残した状態で
この小説から一時避難をして、この文章を書いてるわけですが、起承転結で
言えば、起承転まで読んだくらいなので、このまま読まなかったからって
後悔することはないだろうという予感は、たぶん当たるんだろうなあと
確信してます。来週の月曜日に、ふれあいセンターで読了することに
なると思います。
ザハ・ハディドの国立競技場が女性器であるなら東京都同情塔はペニス
なんでしょうか?幸福学者の論理はウマイところを突いてるのですが
A子さんを登場させたことで確かに同情を買うことはできても、ずいぶん
安っぽくなって損をしているような気がします。そんなことを考えていると
「結」の部分を読むのが楽しみになってきました。