「キャッチ・アンド・キル」の著者は、ミア・ファローとウディ・アレンとの間に
産まれたローナン・ファローです。ウディ・アレンはミア・ファローとの
共同の養子であるディラン・ファローへの性的虐待を告発されたことで
ミア・ファローとの関係を解消しています。
この著書の多くは、ハーヴェイ・ワインスタインによる二十年以上に及ぶ
数々のレイプ事件、性加害を自ら関わる映画に出演した女優、自らの
プロダクションの社員を始め多くの女性に対して繰り返し行ってきました。
この犯罪を告発する報道にいたるまでの経緯を綴り、さらにドナルド・トランプや
他の性加害常習者たちのことも取り上げています。
ハリウッドで神様と崇められるほど著名な映画プロデューサーであった
ハーヴェイ・ワインスタインは、映画界で築き上げた権力と人脈を使い、
被害女性の声を多額の示談金と一切、口外しないという秘密保持契約で
がんじがらめにし、自分の息がかかったタブロイド紙などを使って相手の
女性の評判を徹底的に貶めました。こうして、被害女性達は、ワインスタインに
抗おうにも契約を破って声をあげたときに要求される莫大な損害賠償金や
他の被害者が受けてる、すべての名声を失ってしまうような報復行為、
ワインスタインの人脈の網にからみ取られて業界にいられなくなってしまう
恐怖から口を閉ざしてきたのでした。
著者のローナン・ファローが、そのひとつひとつを丁寧にほどいて被害女性の
心情に寄り添いながらワインスタインの悪行を解き明かしていくものの
著者が席を置く
#MeToo 運動へと繋がっていったのです。
それにしても、ワインスタインの犯罪は許されるものでないことは明らかですが
金と権力で女性を思うままにすることに良心の呵責を感じない男達が
互いにネットワークを組み、この本にあるように元モサドのエージェントが
暗躍する組織が非合法な活動を通じて告発の動きを封じ込めていったり
マスコミが権力者のために報道しないことによって利益を得ていく構造が
最終的にはトランプ次期大統領の隠し子の問題とか性加害の確たる証拠を
握った者が、それを手元に置き公表させないことで大統領をも動かすことが
できることが、もっとも恐ろしいことなのです。この本の中で取り上げられた
トランプ次期大統領の言葉は、この私でさえ引用するのは憚られる下品で
女性の尊厳をないがしろにするものですが、その大統領を選ばせるために
おそらく対立候補を貶める工作をした者がいたことは容易に想像つくのです。
ワインスタインのような変態はいるよという話ではなく、そのような変態を
のさばらせる仕組みが今も存在することのほうが、はるかに恐ろしいことだと
思います。たとえば、プーチン。
ところで、この記事を書くことによって、私は長いこと、ミア・ファローと
ミムジー・ファーマーを混同していたことを知りました。
↑↑↑の右側の女性をミア・ファローと思い込んで生きてきたのです。
完全に余談ですけど。