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縞模様のパジャマの少年 (2008)

サウルの息子を観よう観ようと思いながら、一日延ばしにして

いたのですが、「縞模様のパジャマの少年 」を先に観てしまいました。

なぜか、ポルトガル語吹き替え版だったので、英語の字幕を

つけて鑑賞しました。ストーリーには、さほど込み入った部分はなく

少年の心理を追う作品ですから、多少、大人たちが何を

言ってるのかわからないくらいが、心情的には入り込みやすかった

部分があるかも知れません。

目を背けてしまう凄惨なシーンは、ありませんが、ホロコースト

自体が凄惨なものなので、わざわざ描かなくても十分すぎる

ほどです。むしろ、直接描かないぶん、腹にズシンと応える

ものがありました。

 

A Concepcao (2005)

ドラッグ、ロック、ダンス、SEX…それらが強烈に交差する映画といえば、

はは~ん、ソレ系の映画だねと、早合点されそうですが、昼間はちゃんと

有能なビジネスマンだったり、キャリアウーマンだったりします。しかし、

集団になると、乱痴気パーティを繰り返す。

そうした様子が、ときには、ドキュメンタリーのように突き放した映像で、

時には心理ドラマのように登場人物に寄り添う緻密な映像で描かれて

いきます。いくつかの同じシーンが繰り返し使われるのですが、

よく観ると微妙に早く始まってたり、少し終わりが遅かったりするため、

断片的な時間の流れが、思いがけないカタチでつなぎ合わされて、

通常なら、だんだんと時間軸が明確になって、ああそういうことだったのかと

合点がいくところを、この映画の場合、むしろ、混乱させられて、まるで、

登場人物とともに記憶が混濁していくような錯覚に陥ります。

同時に、単に薬物乱用者の無軌道でモラルも法律も、ないがしろにした

行動と見えて、見知らぬ宗教の儀式とか祈りや、世界のどこかの違う文化を

持った人々の生活様式と同じように、これはこれで、こういう社会なのだ

というふうに、危うく説得されかけたりするのです。

去年の東京国際映画祭においても、グランプリは、ブラジル映画だったし、

畏るべしブラジル映画です。

Brilliantlove (2010)

つい、うっかり、ブラジル映画と勘違いして観てしまって、終わってから

イギリス映画と知ったのでした。タイトルを Brazilianlove と

読み間違えたからですが、英語字幕をつけて観ました。

でも、ほとんど、字幕の必要がないんですよ。またしても、

いつもの持論を繰り返して申し訳ないのですが、字幕が

必要ない映画には、秀作が多いのです。この映画も

例外ではありません。字幕を必要としない映画が、すべて秀作

なんてことは絶対にありません。もし、そうなら、AVのほとんどは、

秀作ってことになりますもんね。

ガレージハウスに住む若者が、ガールフレンドの裸体を大量に

撮った写真を友人に現像してもらったが、バーに置き忘れてしまう。

それを拾ったポルノ業者が、その若者を探し出し、困ったときには

訪ねて来いと告げる。職もなく、盗んだ食料で腹を満たすような

生活をしていた若者は、後日、ポルノ業者の家に行き、

ガールフレンドとともに、客として迎えられる。

その業者は自らの人脈を使い、若者の撮った写真を芸術写真として

発表し、個展は大成功を収める。若者は一躍寵児として、

もてはやされるが、実は、ガールフレンドの了解を得ずに写真を

発表してしまっている。若者の帰りが遅いので(このあたりは、

字幕を読めてないので、多少、見間違えているかも)街に

探しに出て、個展会場に若者の姿を見いだす。展示されている

作品が、自分のあられもない写真と知ったガールフレンドは…

といった内容の映画なんですが、sex や裸体の描写は容赦ないし、

一歩間違えれば、ただソレだけの映画になりかねないのに、

随所に、きちんと一流の映画が持つ香りがあって、終わってみれば

さわやかな青春映画を観たあとのようなスッキリ感に包まれるのです。

落日の大英帝国だとか、EU離脱後何も決められないイギリスだとか、

いろいろ言われながらも、リオでは、金銀メダルの獲得において、

中国を抜いて世界第二位。EU離脱だって、砂糖に群がる蟻のような

移民の数が、すでにキャパを超えていて、今後、さらに増える可能性、

場合によっては爆発的に増加する可能性に抗しきれなかった

からだとも言われています。つまり、今もイギリスは砂糖なのです。

一方、邦題が「異常性欲アニタ」というスゴイ題名の映画は、

「ポルノの女王 にっぽんSEX旅行」など日本映画にも出演した

クリスチーナ・リンドバーグの主演映画です。家庭環境その他の

理由で色情狂になってしまった娘を治そうとするというストーリー立て

なのに、だんだんとズレてきて、ポルノとしては完全に中途半端、

といって、とてもじゃないけどちゃんとした映画には到底及ばなくて、

唯一の見どころが、

↑↑↑ のシーンの直後、そのまま上にパンティを引っ張り上げ、

一瞬で脱いでしまうという妙技を見せてくれるところ?

「ポルノの女王 にっぽんSEX旅行」の相手役は荒木一郎で、

荒木一郎と言えば、シンガーソングライターとしてというよりも

女優荒木道子の息子として有名でした。しかし、その後、

彼自身の行動によって有名になるのですが、それが女子高生に

対する強制わいせつ致傷事件だったので、なんだか、元祖

高畑裕太みたいですね。ただし、荒木一郎は事件後3年で

完全復活しましたが、高畑裕太には、16歳のとき、すでに

余罪があったという話もあり、決して復活なんぞ、して欲しくないと

思いますが、話が何でこうも横道にそれてしまったの?

Chekist(1992)

Chekist というのは、チェーカー勤務者や一般に国家保安機関に

勤務する者のことなんだそうです。1917年のロシア十月革命後、

官僚によるゼネラルストライキが拡大し、これを阻止するための

組織として作られたのがヴェーチェーカー(反革命・サボタージュ取締

全ロシア非常委員会)です。「ヴェー」は、「全ロシア」を意味する

らしく、ヴェーチェーカーからヴェーを取ったチェーカーは、

ヴェーチェーカーの地方支部というような意味合いになるようです。

ヴェーチェーカーは、その後、GPUやKGBに引き継がれていく

ことになる秘密警察組織で、党の監督下にあると言いながら、

実質的には、レーニン直属の組織であったと言われています。

ヴェーチェーカーは、1918年4月のモスクワのアナーキスト襲撃を

皮切りに、ニコライ皇帝一家惨殺、亡命できた者を除く皇帝の

親族や従者の全員を殺害し、帝政時代の富裕層、貴族・地主・

聖職者・軍人・コサック兵、さらに民間人も証拠も無く無制限に

逮捕し処刑していきました。

この映画の大半は、機械的に執り行われる処刑の描写です。

5人一組ずつ、収容室から呼び出され、全裸にされて銃殺され、

流れ作業で死体はトラックに積み込まれ運び出されていきます。

そうした一連の処刑→死体搬出のシーンは何度も繰り返され、特に銃殺の

シーンは、これでもかというくらい繰り返されます。観客の立場でいると、

全裸になるように命令され、壁に向かって横一列に並ばされて、銃殺される

というシーンに、徐々に慣れていくのですが、主人公のチェーカーのトップ

(机上の砂時計が落ちるほどの短時間で人々に死刑判決を下す立場でも

あり、すべての処刑に立ち会う)が無表情のまま、実は、精神的に

追い詰められていきます。

それにしても、ソ連の暗部を描く、このような映画がよくも作られたものだと

思ったのです。だって、サウルの息子を西ドイツで製作するような

ものですから。製作時期が、ペレストロイカからソ連崩壊に至った、

まさにその時期であったと知って、少しは納得したのでした。

ジェヴォーダンの獣(2001)

圧倒的な迫力。完璧な映像力。緻密なストーリー。謎の深淵と

あざやかな解明。ジェヴォーダンの獣そのものは史実にあり、

あまりに多くの人が犠牲になり、死者は、88人だったとも、

123人だったとも伝えられ、正確な数がわからないといいます。

結局、この野獣の正体は、はっきりせず、後に巨大な灰色

オオカミだったとも、ハイエナだったとも、ハイブリッドウルフ

だったとも、さまざまな解釈が生まれることになります。

この映画でも、ある解釈が暗示されます。

マニという名のインディアンが、むちゃくちゃカッコ良くて、

この登場人物のおかげで、アクション映画の要素もあり、

(この作品がアメリカ映画になってたら、単にそれだけに

なっていた可能性あり?)史実に基づくということから

歴史映画としても見応えがあり、主人公と伯爵令嬢の

恋愛映画、ストーリーの展開に重要な役割を担う娼館の

シーンでエロティックな描写もあって、よくもまあ、これだけ

詰め放題に詰め込んで、わずか2時間18分の上映時間に

まとめあげる力量とか、いやあ、もう、ただただ脱帽でした。

Alice or the Last Escapade (1977)

あのシルビア・クリステル主演の映画です。通常なら、衝撃の?

ラストを語ればネタバレなんでしょけど、この映画は、

↑↑↑ のフルヌードシーンを引用するだけでネタバレということに

なります。だって、それだけの映画ですもん。

あこがれ美しく燃え(1995)

よくもまあ、恥ずかしげもなく、こんな邦題をつけたもんだ…と

あきれます。原題は、Lust och fägring stor インターネット翻訳の

力を借りれば「欲望と大いなる美」ってところでしょうか。英題の

ALL THINGS FAIR や、LOVE LESSONS よりはマシですが、

やはり、ピンときません。じゃあ、お前が題を決めろと言われても、

才覚がないので無理です。

事前に何の知識もなく、いつもの青い体験モノと思って、漫然と

観ていました。半分近く進行したあたりで、女教師の旦那と少年が

鉢合わせします。言語もスウェーデン語のままで観ていますから、

細かい部分はわからないのですが、登場人物の相関図みたいな

ものがなくても、少年の家族、特に兄の存在や、少年にあこがれる

少女なども自然とわかります。描写力があるんでしょうね。

少年は、

女教師は、

どちらも、魅力的でしょ?

女生徒は

ちなみに、先生のサービスショットは

↑↑↑ あたりかな?スウェーデン映画としては、エロシーンは

びっくりするくらいソフトです。日本映画と違って、男性器が

二度くらいチラッと見えますが、一度はパンツを脱ぐシーンなので

映らなきゃ不自然。二度目は、それが映ってないと意味が

わかりにくいだろうと思えるのですが、ボカシが入っていたら、

そこに映ってはならないモノがあるということで意味が通じるのかな?

まあ、そういったエロティックな話よりも、言語がわからなくても

登場人物の感情の動きがよくわかり、兄と家族との関わりとか、

中立国ではあっても、当時のスウェーデンに落ちる戦争の影とか

情けなさ過ぎる大人たちとか、そういう周囲の大人たちと関わる

少年の心の襞とかが丁寧に映像の力で描かれていて、最初、

たかをくくっていた私は、その深さに感動するというよりも

あっけにとられてしまったのでした。

少年と女教師のエピソードをすっぽりと外すか、せいぜい、女教師の

性を盗み見るくらいにとどめて、後半部分に描いた部分を

もっと、きちんと描いたら、The Virgin Spring なんか軽く抜いて

スウェーデンの代表的な映画になったかも知れないのにと、

その点だけは残念です。でも、エロい部分がなかったら、

そもそも、私が観ただろうかという疑問もあって、エロいゆえに

評価を下げてしまう部分を惜しむか、エロいから、この作品に

巡り会えた幸運を喜んだものか、けっこう悩ましいのです。

大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]

総量としては、たいしたことないのですが、他の遊びにうつつを抜かす気には

なれない程度に、10月は毎年、町内会の仕事月です。道路使用許可申請、

レクレーション保険加入、ダンジリの用意などの祭りの準備が、それぞれ、

〆切日を持っているので、どうも、追い立てられる気がしてしまうのでしょう。

資源ゴミの申請事務もあるし、防犯灯と赤い羽根は、まだ残ってます。

その前に今月末の回覧文書作成と公会堂の資源ゴミを出さねば…

でも、祭りも終わって、ホッとした気分で、未鑑賞のままになってる映画でも

見ようかという余裕も出てきて、男女の立場が逆転した大奥を描いた

表題作を期待するでもなく観たのでした。

すると、これが、絶品でした。まず第一に、こういうトンデモ設定のドラマは、

たいていは、荒唐無稽な部分とリアルさを出す部分の配合に失敗して

ツッコミだらけとなることが多いのですが、そういう邪念に囚われることなく、

すんなりと映画の物語世界にひたることができました。おそらく、これは、

原作のマンガが、しっかりしているのでしょう。

でも、この映画の見どころは、ストーリーとか構成とか映像とか、そんなものは、

邪魔しない程度にチャンととしていればよく、ただただ、菅野美穂のかわゆらしさ

なのでした。まあ、ああいう表情で見つめられてしまっては、堺雅人も結婚して

しまうわなと、得心したのでした。

ラース・フォン・トリアー

最初に、マンダレイを観ました。若い女的な善意が、その予測に反して踏みにじられる

のですが、打ちのめされるのではなく、若い女的な(しかもアメリカ女的な)強靱さで、

学びとっていくのですけど、日本語字幕版で観たので、説明過多で、作者の意図よりも、

作者が書いたシナリオの意図みたいなものを見せつけられる感じで、ちょっとだけ、

辟易とさせられたのです。

しかし、興味を持ってしまったので、ドッグヴィル を観ました。英語字幕さえも

ない状態でみましたが、ストーリーは、わかりました。でも、ストーリーがわかったからと

いって、何の意味もないのでは?という焦燥にかられました。極上の訳での字幕版を

見てみたい。それにしても、ニコール・キッドマンの魅力がハンパありません。

ここで、やめとけばいいのに、続けて奇跡の海を見ちまいました。しかもまた、字幕なし。

今度こそ、スートーリーさえよくわかりませんでした。というより、看護婦の女性と

エミリー・ワトソンとの関係が、わかってないままに見ると、余分に気をとられて

しまって損しました。ステラン・スカルスガルドは、確かに見覚えがあるのに、

ネットで出演作品一覧を見ても、思い当たりません(ドッグヴィルのチャック役は、

役作りし過ぎていて、その気で見ててもわからないと思う)他人の空似かなあ。

さて、今後の予定ですが、ダンサー・イン・ザ・ダークは、奇跡の海よりも、さらに

暗く、しかも、お情けの救いさえないようなので、敬遠することにしました。

Nymphomaniac.Volume.I と、Nymphomaniac.Volume.II を入手しようとすると

途中で失敗してしまうので、先にイディオッツを探すと間違えて Day Of The Idiots が

落ちてきているみたい。

この貧弱な英語力をどうにかしないことには、映画鑑賞どころではないという話でした。