ドラッグ、ロック、ダンス、SEX…それらが強烈に交差する映画といえば、
はは~ん、ソレ系の映画だねと、早合点されそうですが、昼間はちゃんと
有能なビジネスマンだったり、キャリアウーマンだったりします。しかし、
集団になると、乱痴気パーティを繰り返す。
そうした様子が、ときには、ドキュメンタリーのように突き放した映像で、
時には心理ドラマのように登場人物に寄り添う緻密な映像で描かれて
いきます。いくつかの同じシーンが繰り返し使われるのですが、
よく観ると微妙に早く始まってたり、少し終わりが遅かったりするため、
断片的な時間の流れが、思いがけないカタチでつなぎ合わされて、
通常なら、だんだんと時間軸が明確になって、ああそういうことだったのかと
合点がいくところを、この映画の場合、むしろ、混乱させられて、まるで、
登場人物とともに記憶が混濁していくような錯覚に陥ります。
同時に、単に薬物乱用者の無軌道でモラルも法律も、ないがしろにした
行動と見えて、見知らぬ宗教の儀式とか祈りや、世界のどこかの違う文化を
持った人々の生活様式と同じように、これはこれで、こういう社会なのだ
というふうに、危うく説得されかけたりするのです。
去年の東京国際映画祭においても、グランプリは、ブラジル映画だったし、
畏るべしブラジル映画です。