SPRING BREAKERS (2012) と Girls (1980)

By | 2019年11月8日

アズミ・ハルコは行方不明(小説)のエピローグで少女ギャング団の女子高生が

さびれた商店街の映画館を満員御礼にして観る映画が、SPRING BREAKERS (2012) です。

少女ギャング団が観た映画ということで、この映画を知り、この映画を観ました。

<allcinema> の解説は、以下のとおり。

ラリー・クラーク監督作「KIDS/キッズ」の脚本で鮮烈的なデビューを飾った「ガンモ」
「ミスター・ロンリー」のハーモニー・コリン監督が、人気アイドル女優たちを起用し、
非日常の刺激を求めて犯罪の世界に足を踏み入れていく女子大生4人組の危険な春休みの行方を
セクシー&ポップに活写した青春クライム・ムービー。出演はディズニー作品出身の
ヴァネッサ・ハジェンズとセレーナ・ゴメス、TV「プリティ・リトル・ライアーズ」の
アシュレイ・ベンソン、監督の妻でもある「ミスター・ロンリー」のレイチェル・コリン。
彼女たちが出会う謎の男エイリアンに「127時間」のジェームズ・フランコ。
退屈な日常にうんざりしているフェイス、キャンディ、ブリット、コティの仲良し女子大生
4人組。誰もが浮かれるスプリング・ブレイクがやって来るというのに、お金がなくて遊びに
行くこともできない。ならばと4人は、ゲーム感覚で深夜のダイナーを襲撃、まんまと大金を
手に入れる。こうして念願のフロリダ旅行に繰り出した4人。降り注ぐ太陽と美しいビーチに
テンションも上がりまくりで、パーティ三昧の日々を満喫する。ところがハメを外しすぎて、
ついに警察の厄介に。そんな窮地を、見るからに怪しげなドラッグ・ディーラー、エイリアンに
救われる4人だったが…。

…… ↑↑↑ の解説で、あらかじめイメージすると見誤ります。とは言っても私なりに解説すれば、

<allcinema> よりもはるかにひどい誤誘導をしてしまいかねません。

この映画のラストで、キル・ビルや高倉健を私が連想したのは確かですが、そのことから

何かを伝えることができるわけでもありません。この作品は、おそらく、映画の形状をした

アートなので、言葉に置き換えて伝えると作品価値を損なってしまいかねないという危惧が

筆の運びを重くしているのかなあと思えたりします。

この膠着状態を打破するために、同じく4人の若いコを軸とした映画である Girls (1980) を

先に紹介します。<allcinema> の解説は、以下のとおり。

4人の少女を主人公にした青春映画。物語は、現代のパリを舞台に4人の少女たちの様々な恋愛を
通し、彼女たちの友情やその成長を繊細なタッチで描いてゆくというもの。「エマニエル夫人」で
日本でもセンセーショナルを巻き起こした、ジュスト・ジャカン監督が、少女の世界を舞台に
描いたちょっぴりほろ苦い青春映画の佳作。

<allcinema> を丸ごとコピペしないで、自分なりに書けと言われそうなので、プロットは

自前で書きます。

4人の少女の内訳は、遊び仲間の3人組と、その中のひとりの妹を合わせて4人です。

姉たちのマネをしたわけでもないのでしょうが、ちょっと背伸びした恋をした妹は、

妊娠してしまいます。責任を取ろうとしない相手に対して職を失うような仕返しをしたあと、

3人は中絶のための資金を集めるためにある作戦を実行します。作戦の失敗により

3人組の中の一人が3人の男によってレイプされてしまいます。つまり、「ちょっぴり

ほろ苦い」では済まない悲惨な体験をしてしまうわけですが、彼女たちは、

彼女たちの方法で、ふたつの体験を乗り越えたことを示して映画は終わります。

SPRING BREAKERS の4人も、Girls の4人も、遵法精神に富むとは言いがたいのですが、

逸脱の度合いにプロとアマくらいの歴然とした差があります。しかし、その逸脱の

結果、受けた被害が、SPRING BREAKERS は、一人が腕に銃創ひとつ。Girls は、中絶と

輪姦。銃創ひとつへの復讐が皆殺しで、輪姦への復讐は、果たしてなし得るのかどうか…… 。

SPRING BREAKERS を観ていて連想した、もうひとつの映画が イージー・ライダーですが、

イージー・ライダー は殺され、SPRING BREAKERS は皆殺しにしたあと、ランボルギーニで

次の旅に向かう。ユーザーレビューこそ、賛否両論といった様相を示しますが、

興行的には大成功。BBCの21世紀の最高の映画100 の 74 位。多くの映画評論家から

好意的なレビューを受け、多くの賞にノミネートされ、いくつもの受賞を果たしました。

一方、Girls は、注目の度合いも低く論争を引き越すこともなかったようですが、

あの「エマニエル夫人 (1974)」を世に送り出した確かな力を感じずにいられない

作品で、途中では、いろいろ、突っ込みを入れたくなっても、あのラストシーンに

たどり着けただけでも観る価値のある作品だったと思えました。

私は、かねがね思っているのですが、秀でた映画は言葉がわからなくても心に

響いてきます。その意味で言うと、SPRING BREAKERS も、Girls も、

日本語字幕がなくても、十分に没入できます。セリフやナレーションがないと

伝えることができないなら、それは、映画ではなく小説や演劇といった

他の手段を使ったほうが効率が良いということになりませんか?

(あ。だからなのかな?邦画を観ると、どうしてもセリフやナレーションが

耳から入ってきてしまうので、ついつい、せっかく本来の映画力を使った

シーンを見逃すってことがあるのかも知れない。「セリフが聞き取れない」

なんて、イライラするのは、間違った態度?)

圧倒的な映像力の SPRING BREAKERS との出会いを導いてくれただけでも、

アズミ・ハルコは行方不明(小説)に、感謝!感謝!

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日本語で書いてね。外国語わかんない。