今朝は、排便時の痛みが小さくて済みました。腰掛けた状態なら
ほとんど痛みはありません。
さて、手術室から病室に戻されたとき、下半身は完全に麻痺してました。
ときどき、看護師さんが見回りにきてくれて、麻酔がどこまで覚めたかを
確かめるのですが、その確かめ方というのが、足をつねって痛いか
どうかを聞くのです。麻酔は、太ももから足首方向へと覚めていきますから
それに沿って、最初は太もものつけねあたりから、数センチきざみに
つねっていって、どこから痛みを感じないかで覚め方を測定するのです。
なんだかねーでしたね。
腰から下の感覚がないので、膝を曲げたり伸ばしたりとか、ちょっと、
半身になるとかは、まったくできません。病室に運ばれたときに
セットされたベッドの傾きに全身をゆだねた仰向けのまま、寝返りも
不可能です。痛みも何にもありませんが、ただただ、安静にしてても
眠気が来ないのです。しかし、目を閉じていると、めまいのように
身体がふわふわしました。そのうち、身体が下降してるような感覚に
なり、目の前が濃いブルーに染まりました。目は閉じたままです。
それは、しだいに海の中のような光景になり、いつのまにか、
空中……といっても、雲よりも高い位置にあり、水平線まで
いくつもの雲が浮かんでました。非常に精緻なCGで描いたような
景色なのですが、全体的に暗い印象で光が足りない感じでした。
廊下で看護師さん同士がする会話がはっきりと聞こえます。
自分では、意識がある状態と思っています。宙に浮いた状態から
下降を始め、今度は眼下にビル群が見えてきました。これも
非常に精緻に描かれていて、360° 完璧に描かれたCGの世界の
中にいる感覚です。ビルの壁面近くを飛ぶときには、空だけが
見えていたときよりも光量が増えて細部までくっきりと見えました。
ビルの壁面をいつのまにか透過してエレベータ昇降路を
下降してました。ところが下降してたはずが途中で上昇してることに
気づきます。このあたりから、徐々にどちらに進むかを自分で
制御できるようになり、非常にリアルに描かれた3D映画の中を
自由に飛行できてるような感じになっていきました。
ビルの外壁に、どんどん近づいていくと、壁に凹凸があり、
凹んだ溝に沿って飛ぶと四角な穴が見えたので、その中に
入っていくと……けっこう楽しい体験で、わくわくとしながら
自由に飛べる版の金縛りみたいな状況を楽しみました。
その間も周囲の話し声や物音は、しっかり聞こえるものですから
意識がある状態という自覚のままです。ベッドごと飛んでる感じ
なので、よけいにリアル感が強かったのでしょう。
要するにラリった状態だったと思います。この昂揚感と見事な光景、
自由な飛行を毎回楽しめるとしたら、麻薬におぼれる人の気持ちが
わからないでもないなと思ったのでした。
手術後、病室に運ばれたとき、手術着の下は、パンパースでした。
シーツの上には持参したバスタオルを敷いてありました。
翌朝見てみると、手術着も、バスタオルもバスタオルの下のシーツにも
血がついていました。それほど大量ではありません。翌朝の点滴の時に、
手術着を持参の寝間着に着替えるようにと看護師に指示されました。
パンパースのまま、寝間着代わりの作務衣に着替えたら、これにも
血がつきました。水色の作務衣だったので、目立ちましたが、
もう一着持って行ってたパジャマに着替えて、これにも血がつくと
いやだったので、退院まで、この作務衣で通しました。
午後の回診のときだったか、医師からパンパースをやめて、
持参のパンツに履きかえるように言われていない?との質問だったので
言われていないと答えました。作務衣の血のこともあって、最初の
排便までは、パンパースのままでいたいと思いました。
でも、パンパースといっても、太もものところにゴムが入っているような
タイプではなく、ほぼ、一日履いてると、紙のフンドシ状になって
しまってました。
最初の排便までは、持参のパンツに履きかえたくなかった理由の
ひとつに、手術の時に肛門内に押し込んだガーゼが排出されるので
それを便器の中から自分で拾って汚物入れに入れなきゃなんないと
トイレ内に書いてあって、それもイヤだし、ガーゼが含んだ血が
パンツに付くのもイヤでした。この悩ましいガーゼは回診にきた
医師が薬を注入するときに除去してくれました。
ガーゼ問題が解決したので、パンツに履きかえましたが、病院で
渡されたナプキンの使い方が、わからないのです。聞けばいい
ったって、花も恥じらうおっさんが、ちょっと、ブサイクとはいえ、
看護師さんに聞けったって、聞けるもんじゃないですよ。
とりあえず、お尻にナプキンをはさんで固定した状態で
パンツを履いて、ナプキンの裏側のテープがパンツに貼りつく
まで、引き上げるという方式で、三日目までは通しましたが、
この方式だと、ナプキンが棒状になって、なんだか横漏れに
弱い感じなんです。といって、あらかじめパンツに貼っておく
という方式も、ナプキンの位置が適正になるという保証もなく
悩ましいんですよね。
退院後に女房に買ってきてもらったナプキンは、34cm も
長さがあり幅も広く、おまけに羽根つきなので、最初に羽根部分を
パンツに貼ると、ぴったりと位置が決まりました。今では
ナプキン貼りに関しては、かなりの腕前です。
毎日、ごろごろしてるのも飽いてきたのですが、立った姿勢だと
肛門部分に圧がかかるのか、痛みがあるので、ついつい、腰掛けて
過ごすことが多くなります。円座クッションも買ってきました。
さらに、続報があるかどうかは、わかりませんが、術後報告は
このあたりで、一旦、おしまいです。