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Brilliantlove (2010)

つい、うっかり、ブラジル映画と勘違いして観てしまって、終わってから

イギリス映画と知ったのでした。タイトルを Brazilianlove と

読み間違えたからですが、英語字幕をつけて観ました。

でも、ほとんど、字幕の必要がないんですよ。またしても、

いつもの持論を繰り返して申し訳ないのですが、字幕が

必要ない映画には、秀作が多いのです。この映画も

例外ではありません。字幕を必要としない映画が、すべて秀作

なんてことは絶対にありません。もし、そうなら、AVのほとんどは、

秀作ってことになりますもんね。

ガレージハウスに住む若者が、ガールフレンドの裸体を大量に

撮った写真を友人に現像してもらったが、バーに置き忘れてしまう。

それを拾ったポルノ業者が、その若者を探し出し、困ったときには

訪ねて来いと告げる。職もなく、盗んだ食料で腹を満たすような

生活をしていた若者は、後日、ポルノ業者の家に行き、

ガールフレンドとともに、客として迎えられる。

その業者は自らの人脈を使い、若者の撮った写真を芸術写真として

発表し、個展は大成功を収める。若者は一躍寵児として、

もてはやされるが、実は、ガールフレンドの了解を得ずに写真を

発表してしまっている。若者の帰りが遅いので(このあたりは、

字幕を読めてないので、多少、見間違えているかも)街に

探しに出て、個展会場に若者の姿を見いだす。展示されている

作品が、自分のあられもない写真と知ったガールフレンドは…

といった内容の映画なんですが、sex や裸体の描写は容赦ないし、

一歩間違えれば、ただソレだけの映画になりかねないのに、

随所に、きちんと一流の映画が持つ香りがあって、終わってみれば

さわやかな青春映画を観たあとのようなスッキリ感に包まれるのです。

落日の大英帝国だとか、EU離脱後何も決められないイギリスだとか、

いろいろ言われながらも、リオでは、金銀メダルの獲得において、

中国を抜いて世界第二位。EU離脱だって、砂糖に群がる蟻のような

移民の数が、すでにキャパを超えていて、今後、さらに増える可能性、

場合によっては爆発的に増加する可能性に抗しきれなかった

からだとも言われています。つまり、今もイギリスは砂糖なのです。

一方、邦題が「異常性欲アニタ」というスゴイ題名の映画は、

「ポルノの女王 にっぽんSEX旅行」など日本映画にも出演した

クリスチーナ・リンドバーグの主演映画です。家庭環境その他の

理由で色情狂になってしまった娘を治そうとするというストーリー立て

なのに、だんだんとズレてきて、ポルノとしては完全に中途半端、

といって、とてもじゃないけどちゃんとした映画には到底及ばなくて、

唯一の見どころが、

↑↑↑ のシーンの直後、そのまま上にパンティを引っ張り上げ、

一瞬で脱いでしまうという妙技を見せてくれるところ?

「ポルノの女王 にっぽんSEX旅行」の相手役は荒木一郎で、

荒木一郎と言えば、シンガーソングライターとしてというよりも

女優荒木道子の息子として有名でした。しかし、その後、

彼自身の行動によって有名になるのですが、それが女子高生に

対する強制わいせつ致傷事件だったので、なんだか、元祖

高畑裕太みたいですね。ただし、荒木一郎は事件後3年で

完全復活しましたが、高畑裕太には、16歳のとき、すでに

余罪があったという話もあり、決して復活なんぞ、して欲しくないと

思いますが、話が何でこうも横道にそれてしまったの?

Chekist(1992)

Chekist というのは、チェーカー勤務者や一般に国家保安機関に

勤務する者のことなんだそうです。1917年のロシア十月革命後、

官僚によるゼネラルストライキが拡大し、これを阻止するための

組織として作られたのがヴェーチェーカー(反革命・サボタージュ取締

全ロシア非常委員会)です。「ヴェー」は、「全ロシア」を意味する

らしく、ヴェーチェーカーからヴェーを取ったチェーカーは、

ヴェーチェーカーの地方支部というような意味合いになるようです。

ヴェーチェーカーは、その後、GPUやKGBに引き継がれていく

ことになる秘密警察組織で、党の監督下にあると言いながら、

実質的には、レーニン直属の組織であったと言われています。

ヴェーチェーカーは、1918年4月のモスクワのアナーキスト襲撃を

皮切りに、ニコライ皇帝一家惨殺、亡命できた者を除く皇帝の

親族や従者の全員を殺害し、帝政時代の富裕層、貴族・地主・

聖職者・軍人・コサック兵、さらに民間人も証拠も無く無制限に

逮捕し処刑していきました。

この映画の大半は、機械的に執り行われる処刑の描写です。

5人一組ずつ、収容室から呼び出され、全裸にされて銃殺され、

流れ作業で死体はトラックに積み込まれ運び出されていきます。

そうした一連の処刑→死体搬出のシーンは何度も繰り返され、特に銃殺の

シーンは、これでもかというくらい繰り返されます。観客の立場でいると、

全裸になるように命令され、壁に向かって横一列に並ばされて、銃殺される

というシーンに、徐々に慣れていくのですが、主人公のチェーカーのトップ

(机上の砂時計が落ちるほどの短時間で人々に死刑判決を下す立場でも

あり、すべての処刑に立ち会う)が無表情のまま、実は、精神的に

追い詰められていきます。

それにしても、ソ連の暗部を描く、このような映画がよくも作られたものだと

思ったのです。だって、サウルの息子を西ドイツで製作するような

ものですから。製作時期が、ペレストロイカからソ連崩壊に至った、

まさにその時期であったと知って、少しは納得したのでした。

ジェヴォーダンの獣(2001)

圧倒的な迫力。完璧な映像力。緻密なストーリー。謎の深淵と

あざやかな解明。ジェヴォーダンの獣そのものは史実にあり、

あまりに多くの人が犠牲になり、死者は、88人だったとも、

123人だったとも伝えられ、正確な数がわからないといいます。

結局、この野獣の正体は、はっきりせず、後に巨大な灰色

オオカミだったとも、ハイエナだったとも、ハイブリッドウルフ

だったとも、さまざまな解釈が生まれることになります。

この映画でも、ある解釈が暗示されます。

マニという名のインディアンが、むちゃくちゃカッコ良くて、

この登場人物のおかげで、アクション映画の要素もあり、

(この作品がアメリカ映画になってたら、単にそれだけに

なっていた可能性あり?)史実に基づくということから

歴史映画としても見応えがあり、主人公と伯爵令嬢の

恋愛映画、ストーリーの展開に重要な役割を担う娼館の

シーンでエロティックな描写もあって、よくもまあ、これだけ

詰め放題に詰め込んで、わずか2時間18分の上映時間に

まとめあげる力量とか、いやあ、もう、ただただ脱帽でした。