アトランティック・シティ (1980)

By | 2021年1月21日

いい映画を観たなー。満足。

この映画のロケは、アトランティックシティを実際に使用しているにも

関わらず、どこかパリの裏町を感じてしまったんですが、それが、

オスカーの主要5部門(最優秀俳優賞、最優秀女優賞、最優秀監督賞、

最優秀映画賞、最優秀脚本賞)のすべてにノミネートされながらも

無冠に終わってしまった要因のひとつなのでしょうか?しかし、

全米映画批評家協会賞の作品賞と監督賞をダブル受賞しているのですから

そうでもないのかな?ブラック・レインで描かれた大阪に、ほとんどの

日本人は違和感を感じたと思うんですね。

実際のアトランティックシティは、当時、カジノが合法化された直後で

古い建物を倒して、新しいカジノの建設ブームの真っ最中だったのですが

この映画では、そういう前途に夢が広がっている的な明るさは皆無です。

カジノを公認すれば、アトランティックシティは、東のラスベガスとして

飛躍的な発展をとげると多くの人が信じました。ドナルド・トランプも、

おそらく、その一人だったのでしょう。「トランプ・プラザ」

「トランプ・キャッスル」「トランプ・タージマハル」を90年代前半までに

オープンし、カジノ帝国を形成しますが、カジノは破産し、唯一、

トランプの名を冠して残った「トランプ・タージマハル」も人手に

渡りました。しかし、トランプは「 カジノから利益を最後まで搾り取った」と

豪語したと伝えられていますが、数千人の人々が職を失い、多くの下請け企業が

売掛金の一部しか受け取れないハメに遭いました。

トランプは、アトランティックシティをゴーストタウンにして立ち去りましたが、

もし、彼が大統領選で再選されていたら、アメリカ全土が、そうなっていたかも

知れません。(いや。そこまでの力はないか……)

日本では、汚職事件とコロナ感染で冷や水を浴びせかけられた形の IR ですが、

統合型リゾートとなった都市が、日本のアトランティックシティとなりかねない

という視点でとらえることができる地方自治体の首長がどれだけいることか。

映画の話に戻りますが、バート・ランカスター演じるルウは、どんづまりの

みじめな状況から「女を守る男になれて」人生を切り開くことができたように

見えます。しかし、それが今後も続く保証なんて何もないし、むしろ、暗雲が

立ちこめているように見えます。しかし、サリーの妹が出産して、アニキ分の

情婦だった老女と一緒に疑似家族をスタートできたら晴れやかな人生が

待っているのかも知れません。サリーは、サリーで実際にモンテカルロに

たどり着けるかどうかわからないし、たどり着けたからって夢に近づけるか

どうかわかりません。でも、そんな先のことがどーなろうといいの。

いい映画を観ることができたんだから、それで充分。

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